開発者2人が語る、Disneyコレクション「Mickey & Minnie」。<br>デザインへのこだわりと“つながる”想い。 開発者2人が語る、Disneyコレクション「Mickey & Minnie」。<br>デザインへのこだわりと“つながる”想い。
スクスク25周年記念シューズが発売
SUKU² INTERVIEW
開発者2人が語る、つながる“愛”と“アイデア”

#KIDS 2022.11.18

開発者2人が語る、Disneyコレクション「Mickey & Minnie」。
デザインへのこだわりと“つながる”想い。

スクスクの誕生25周年を記念して、Disneyコレクション「Mickey & Minnie」が発売。一筆書きで描かれたミッキーとミニーや、半透明の素材で作られたアシックスストライプが目を引く、シンプルながらもこだわりを感じる仕上がりです。そんな一足ができるまでの舞台裏には、さまざまなストーリーがあったのだとか。そこで今回は、商品企画を担当した髙村 佳代(下部写真右)とデザインを手がけた小林 麻美(下部写真左)の対談を実施。コロナ禍の製作にまつわる苦労から、コンセプトである“つなぐ”が生まれたきっかけまでお話しいただきました。

子どもたちの“はじめて”に携わる。キッズシューズ作りの魅力

――本日はよろしくお願いします。まずはお二人の経歴を教えてください。

小林:アシックスに入社してからはウイメンズシューズのデザインをしていて、2020年にスクスクの担当になりました。

高村:私は2019年から3年間スクスクの企画を担当し、2022年からスクスクのマーケティングの担当になりました。

小林:高村さんはいろいろな部署を転々とされていますよね。

高村:スポーツ流通の営業のサポートに始まり、オニツカタイガーの一号店で販売とVMD、PR担当など、その他これまでさまざまな部署で多様な仕事をさせていただきました。

小林:スクスクの担当になって、はじめて企画をやってみてどうでしたか?

高村:実は、以前からスクスクの企画をやりたいと思っていたんです。子どもの“はじめて”にシューズで携われるって素敵じゃないですか。2019年にようやく念願が叶った時はうれしかったですね。小林さんは長年シューズのデザインを担当されていますが、シューズに興味を持ったきっかけはなんだったのですか?

小林:うちの家族がみんな特徴的な足の形をしていて、私自身も足に合う靴が見つからずに困ることが多くて。家族みんな靴にこだわっていました。私が興味をもつようになったのも自然な流れなのかなと思います。

高村:なるほど! シューズと向き合う機会が人よりも長いからか、一緒に仕事をしていてもその強いこだわりはよく感じます。小林さんは自分のイメージするデザインを突き詰めるという気力のいる作業をずっと続けていて。デザイナーとして全幅の信頼を寄せています。

小林:ありがとうございます。

知られざる“生みの苦しみ”。スクスクが店頭に並ぶまで

――スクスクができるまでの流れを教えてください。

高村:プロジェクトが始まるのは商品が店頭に並ぶ約2年前です。まずは企画担当が発売する年にどのようなイベントがあるのか、何が流行していそうかなどを広くリサーチして、商品のアイデアをまとめた企画書を作ります。

小林:それを受け取るのがデザイナーですね。まずは企画をイラストにおこしたデザイン案をいくつか作成して検討をします。デザインが決まったら、工場と直接やりとりをする開発チームと、細部の調整を行いながらサンプルを発注します。1カ月後にできあがったサンプルをチェックし、必要であれば再度発注して、イメージするデザインにむけて軌道修正していくという流れです。

――そうしてできあがったシューズが店頭へ並ぶのですね。シューズを製作していく上で大変なことはなんですか?

高村:アイデアが降りてこないときは作家のような“生みの苦しみ”を感じますね。あとは、2年後を予想すること。インターネットや自分の足を頼りに情報を仕入れて、「このデザインは今、大人の間で流行り始めているけど、このあと子ども向けのアイテムでも人気になるのではないか」などとシミュレーションするんです。特にコロナ禍では先が読めなかったので、大変な作業でした。小林さんはどうですか?

小林:アシックスのキッズシューズとして、子どもの足に合った靴作りをすることですね。まず、関節と関節の間の軟骨が未発達な分、かかとや足首の安定感が求められたりと、大人向けのシューズとは違う部分に気をつける必要があります。それに、「ファースト」「ベビー」「プレスクール」と発達段階に応じた3種類が展開されるのもキッズシューズならでは。それぞれパターンの大きさや構造が違いますから、デザインもそれに応じて調整する必要があるんです。

“愛”と“アイデア”が詰まった「Mickey & Minnie」

――「Mickey & Minnie」のテーマは「つなぐ」です。商品企画をする上でこだわったことはありますか?

高村:コロナ禍では人と人の距離が離れざるを得ない状況でしたが、肉体的な距離はあっても心の繋がりは大切にしたいなと強く思っていて。そもそも25周年のスクスクのテーマが「想いをつなぐ。」だったこともあり、「Mickey & Minnie」ではよりわかりやすい形でそれを伝えたいなと。そこでたどり着いたのが、「つなぐ」というシンプルなテーマと、一筆書きというアイデア。小林さんにはミッキーとミニーの繋がりがひと目でわかるデザインを作りたいと伝えましたね。

小林:個人的にもリモートワークが中心でなかなか人と会えない生活だった分、そのテーマには深く共感できて。それに、高村さんの思いやアイデアが丁寧に伝わる企画書だったのでデザインも考えやすかったです。イラストはディズニーさんに描きおろしていただいたのですが、「つなぐ」のテーマを受けて「相手を受け入れるようなポーズのミッキーを描いてください」とお話しました。

高村:デザインをする上でこだわったところはなんですか?

小林:「どうしたらディズニーが好きな方に伝わるか」ということはひたすら考えました。調べていくと、スクスクに触れることの多いパパママ世代は私が思っていたよりも若く、好みも自分の感覚とは少し違うなと気づかされて。それに合わせてデザインも軌道修正していきましたね。正直に言うとこれまでディズニーにはあまり詳しくなかったのですが、今回のプロジェクトで私もファンになってしまいました(笑)。

高村:今日はミッキーが描かれたマスクをつけていましたね(笑)。「Mickey & Minnie」では色使いにもこだわっていました。

小林:そうですね。アシックスのシューズの場合、カラーチームがシーズンごとに決めた数十種類の色の中から選んでいて。今回はその中から「前向きになれる色」をテーマに、淡い水色とピンクを採用しました。アッパーの色が白で、シンプルなデザインなのでその存在感は際立たせられたかなと思いますね。

高村:仕上がったデザインを小林から見せてもらったときは、“うれしい想定外”だと思いました。自分のアイデアに小林のデザインが加わることで、さらに素敵なデザインに仕上がっていて。デザイン構想を頭の中で考えている段階から、チーム内で力を合わせて一足のシューズになるまで、ずっと関わっていけるのは企画の特権だなと思います。

小林:アイデアでいうと、アシックスストライプを半透明にするのは開発チームの人が考えた案なんです。たまの出社日に久々に顔を合わせた際に「透ける素材を使ってみたらどうだろう?」と話してくれて。一筆書きが途切れないデザインをつくることができた瞬間は、ワクワクしましたね。

高村:ある意味で、チーム全員の思いやアイデアが繋がったシューズと言えますね。

子どもの足を支えて25年。こだわりと挑戦で繋ぐこれからのスクスク

――スクスクは今年で25周年ですが、その後の30周年、40周年を見据えて、意気込みを教えてください。

高村:スクスクは使われる素材こそ進化しているものの、基本的に構造や根本的な考え方は変わりません。子どもの自由な足の動きを阻害しない、はだしに近い感覚の靴として、ぶれない軸がありますね。子ども自身が履き心地に違和感を感じる縫い目を減らしていたり、「ファースト」にはインナーに肌に優しい低刺激性の素材を使用していたり、「ベビー」や「プレスクール」には抗菌・消臭効果があり、吸汗速乾性に優れた素材の機能中敷を採用していたり、といった具合です。そういった、ぱっと見た目では気付きにくい、子どものことを考えたこだわりは継承しつつ、これからもお客様の笑顔を感じる商品を生み出し続けられるように、時代に合わせてアップデートしていきたいですね。

小林:スクスクのこだわりを知れば知るほど、25年前にこのシューズを開発した人は大変な挑戦をしていたのだなと分かるんです。彼らが今まで繋いできた思いを受け継ぎつつ、私も同じようにデザインで挑戦し続けていきたいなと思いますね。

PROFILE

ウォーキング企画開発部
ウォーキングデザインチーム
小林 麻美


ウォーキングのウイメンズシューズのデザインを担当し、2020年からスクスクのデザインを担当。「お子さんのいる同僚に『今はどのようなアニメが流行っているか』と聞いたり、街中で見かけたお子さんの足元をチェックしたりと、日頃からデザインの参考になりそうな情報を仕入れています」

PROFILE

元ウォーキング企画開発部ウォーキング 企画チーム
現カテゴリー戦略部 戦略チーム
髙村 佳代


さまざまな部署で業務を経験し、2019年から3年間スクスクの商品企画を担当。
2022年からスクスクのマーケティング担当へ。「パパやママだけでなく、お孫さんがいる方も含め多くの方に『Mickey & Minnie』の魅力が届くよう、SNSや動画コンテンツを活用していこうと考えています。マーケティングとしての仕事はこれからが本番ですね」