これから必要なのは、第三者を巻き込む子育て。<br>多角的な視点から子どもを見つめ、「いいところ」を伸ばしてみては
子どもたちの未来のために「想いをつなぐ。」
KIDS’ FUTURE TALK
子育てアドバイザー・河西景翔

#KIDS 2022.11.02

これから必要なのは、第三者を巻き込む子育て。
多角的な視点から子どもを見つめ、「いいところ」を伸ばしてみては

子どもたちの健やかな足の成長を守り、応援するスクスクがお届けする、親から子へと想いをつなぐスペシャルインタビュー。保育士、幼稚園教諭として子どもたちと関わった年数は15年以上。現場の経験や学びから導き出した子育ての理論やアイデアを発信する、子育てアドバイザー河西景翔さんに訊く子育てのヒント。Instagramで披露するモードを楽しむ姿は、保育という言葉のもつイメージをしなやかに凌駕。けれど、紡ぐ言葉は実にロジカルでいて腹落ちするものばかり。子どもが自己肯定感を育むには?今、親たちに必要な心構えは? 私たちが日々直面する子育ての課題や疑問について尋ねます。

年下の子の面倒を見ることが自然とフィットしていた小学生時代。
「こういう仕事が自分には向いているのかも」と思った

ーーそもそも河西さんが保育士になりたいと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

私には6歳下の妹がいるんです。うちは両親が共働きで、小学生の頃から妹の面倒をずっと見ていました。そして気づけば妹だけでなく妹の友達も預かるようになっていて、ずっとみんなで一緒に遊んでいました。同年代の友達ではなく、そうやってちょっと年下の子たちの面倒を見ながら、同じ目線で遊ぶことが自分には自然とフィットしていた。それで「ああ、こういう仕事が自分には向いているのかもしれない」と思ったんです。

ーー中学生の頃から保育園でボランティア活動もされていたそうですね。

はい。進路はもう小学校5年生くらいの頃に決めていて。6年生のときに将来の夢を発表する授業があったのですが、その時にも「保育園の先生になりたい」と書きました。まだ当時は、男性が保育士になるというのが当たり前ではなくて、担任の先生に「(保育士でないものに)書き直したほうがいい」と言われました。

けれどその言葉に強い違和感を感じて。「だったら逆に絶対なってやろう」とより思いが強まりましたね。そうしたら自分が卒園した保育園が、夏休みに保育士の体験ボランティアを募集していたんです。これはぜひ参加したいと思って応募をしました。結局、夏休みだけじゃ物足りなくて、春休みと冬休みにも行くようになって。結局、高校を卒業するまでの5年間弱、通わせてもらったんです。

ーー実際に保育の現場を経験してより保育士への思いが強まったのでしょうか。

妹や妹の友達を見ているだけだとその年齢の子どものことしかわかりませんが、保育園で保育の手伝いをすると0〜5歳までの子どもたちがいるわけです。自分がボランティアをはじめた当時、何もできない赤ちゃんだった子も、5年たてば立派に成長する。子どもたちの日々の変化の大きさは、周りにいる大人からたくさんの影響を受けているんだと感じて……これはすごく大変な仕事かもしれない、けれどやりがいがあるなと思いました。

また、こちらが子どもたちから受け取ることもたくさんあります。というのも、子どもたちはいろんなことを教えてくれますから。どの年齢の子と接しても、いろんな学びがあって、そのどれもが素晴らしいんです。

子どもはたくさんの人と関わることで、多くのことを学ぶ。
自分のことを多くの視点で知ることができたら、いいところもぐっと伸びる

ーー河西さんは子育てにおいて、今、なにが必要だと考えられていますか?

これまでの日本の教育は全員横並びの5教科を中心とした詰め込み型の教育だったのではないかと思います。でも、これからの時代で必要になっていくのは、なにかを生み出す思考力や発想力、創造力だと思います。就学前もそれは同じこと。ひとつのことをやって、そのできがいい悪いと比べるのではなく、いいところはみんなと違ってもいいと教えていくことが大事だと思います。そのために大人は、多角的に子どもたちを見てあげられるといいですよね。

ーー河西さんは親と子だけに終わらない、第三者を巻き込んだ子育てを、と考えていらっしゃるそうですね。

今の日本の子育てってお母さんに多くを任せてばかりで、なんでも「母親の責任」になってしまう。母と子という架け橋だけを頼りにしていたら、何かがあった時にお母さんも子どもたちも共倒れになってしまいますよね。だから、いろんな視点が子育てを助けると思うんです。「ママはあなたのここがいいと思うけど、保育園の先生はこういうところがすごいと言っていた」、「隣の家のおじさんはここを褒めてくれた」、みたいな。子どもたちはたくさんの人と関わることで、多くのことを学びますし、自分のことを多角的に知ることができ、いいところもぐっと伸びる。だから、お母さんお父さんに必要なのは、ある種の子離れする勇気です。親はずっと一緒にいられないからこそ、子離れができる関係をきちんと作って、子どもに社会との関係を持たせてあげることが大きな成長につながると思います。

ーーまだ子どもが小さいとなかなか難しいかもしれませんね。

難しいかもしれませんが、子どもをまずは信じてあげてほしいです。例えば雨が降っていて、今日は何を着て保育園にいくべきか考える時に、親はつい「濡れたらいけない」「汚れてしまうかも」と「今日は雨合羽着せていこう」となりますよね。でも、それだと子どもたちはどうして雨合羽を着るのかが、わからない。ですから一度、自由に子どもに身に付けるものを選ばせてみたらいい。それで泥んこになって、汚れていやだな、悲しいなと思ったら「そうだ、今日は服を汚したくないから雨合羽を着て行ってみよう」とか「今日は水たまりを歩きたいから長靴を履いていきたい」と考えられるようになるかもしれない。日本は、生活に関して人に迷惑をかけないようにと、大人が先回りをして「自立」を促すのですが、私は迷惑をかけて自分で「何がいけなかったのだろう」「次はどうしたらいいのだろう」と子ども自身に考えさせることが大切だと思っています。自分で自分を律すること。これが、これからの時代に大切な「自律」なんです。その機会を子どもたちにたくさん与えてあげてほしいですね。そういう意味で、洋服や靴選びは「自律」のヒントがたくさんあると思います。

保育士時代、髪色が赤だったことも。
子どもたちに、先生は楽しく好きな色を選んでいると伝えたかった

ーー何を着るか、どのようなものを履きたいかを子どもたち自身に選ばせてあげる。

そうですね。子どもたちが着るもの履くもので、まず気にするのは色です。色はたくさんの力を持っていますから。でも、それは親が選んで与えた色では発揮できないですよね。今日も私は撮影に、この白のスニーカーに合わせてピンクのジャケットを絶対に着ようと決めてきたんです。それはピンクを着ると自分が変われるような気持ちがしたから。自分が決めた好きな色って、自己肯定感を高めてくれる。それは子どもたちも一緒だと思います。

ーー好きなものを選ばせることって、実はちょっと難しい感じがします。

子どもに何かを選ばせる時には、枠をつくらないことが大事だと思います。子どもは3歳で自分を認知し、4歳になると他人と比較をしはじめます。「あの子がこの色を選んでいるから、自分もそうしよう」というような。それこそ男の子は青、女の子は赤、みたいなステレオタイプな発想もこの年齢のころに定着してしまう。その時、自分が好きできれいだと思う色を自由に選んでいいんだよ、ということを周りにいる大人がきちんと伝えてあげられるといいですね。選択肢に多様性をもたせてあげないと、他人と比べ、時には劣等感も生まれてしまう。大人がいいお手本になってあげることも大事じゃないでしょうか。

ーーそうですね。親が楽しそうに好きな服や靴を選んでいたら、それを真似したくなると思います。

私は、保育士時代に髪を赤く染めていたことがあります。それを良いと言ってくださる方も、そうでない方もいらした。でも、自分はそれをしたくてしていたんです。髪の毛なんて黒でも、赤でもいい。子どもたちに先生は楽しく好きな色を選んでいるんだ、ということが伝わればいいかなと思いました。仕事はしっかりやっていましたし、いいかなって(笑)。ママやパパもこういう時にはこういう服、と決めつけすぎず、自由に親子でオシャレを楽しめばいいと思います。

足裏の刺激は脳の成長にも大きく関わる。
だからこそ子どもたちには足に合ういい靴を

ーー靴選びについてはいかがですか?

デザインや色はもちろん子どもたちが自由に選べばいいと思います。ただし、機能やサイズのことは親がきちんと把握してあげていてほしいと思いますね。歩き始めの時期はもちろんですが、子どもの足の骨化が終わるのは18歳のころ。それまでの靴選びってとても重要です。小さい子どもたちは、足を踏ん張って、足のゆびで地面を掴むようにして歩きます。歩くことって全身運動ですし、足裏の刺激とともに脳の成長にも大きく関わってきます。そのときに、足に合ういい靴を履いているかいないかで、子どもの成長に影響する。靴選びはすごく大事だと思います。

ーー河西さんが考える、いい靴とは、どのような靴ですか?

それこそスクスクは子どものことを考えた機能が充実していて、すばらしいと思います。歩行をサポートしてくれるソールが何より大事だと思うのですが、スクスクのシューズは、硬すぎずやわらかすぎずちょうどいいんです。あとは靴を脱いだ時も大切! 保育士時代によく先生方と話していたんですが、靴によって脱いだ後の臭いって全然違うんです。子どもたちは新陳代謝が激しいから、ちょっと散歩に行ったら足の裏が汗だらけで靴の中がびっしょりなんてことも。そういう時に、中敷が吸汗速乾で抗菌機能がしっかりあると臭いが発生しにくいし、サラッとしているので、子どもがまた靴を履く際も嫌がらずに足を入れてくれる。これは、たくさんの子どもの靴を比べて見ているからこそ、気づいたポイントです。

ーー機能だけでなく、サイズも大事ですよね。

私たちが子どもの頃のキッズシューズって1cm刻みでしか展開がなかったかと思います。でも、スクスクのシューズをはじめ、最近のキッズシューズは、0.5cmごとにサイズ展開があります。それは成長段階の子どもたちが、そのときそのときで足にきちんと合う靴を履くことが大事、という考えからきているのではないでしょうか? サイズが合っていないと大人でも不快感を抱きますよね。子どももそれは同じ。それが原因で歩きたくないとなってしまうこともありますし、サイズが合っていないせいでうまく地面を蹴ることができずパフォーマンス力が落ちてしまい「自分はみんなみたいに速く走れないんだ」と運動嫌いになってしまう子もいます。骨格形成にも関わるので、洋服以上に細やかに靴のサイズが合っているかは親が見てあげてほしいなと思います。適切な靴のサイズをお知らせしてくれる子どものあし成長予測ツールASICS STEPNOTEのサービスもとてもいいと思います。

ーー今日は参考になるお話がたくさん伺えました。最後に、河西さんの今後の目標や、やってみたいことを教えてください。

保育士時代、4歳児クラスを担当していたのですが当時は1人で29人の子どもたちを見ていました。その時は自分に余裕がなく、保護者の方々にいろいろ悩みを相談されてもきちんとこたえることができなかったんです。そうやって保護者の方一人ひとりにきちんとした対応できないことに保育士として罪悪感を感じつつ、気づいたのは子どもの年齢ごとに保護者が抱えている悩みは共通点が多いなということでした。「より多くの保護者の方々の悩みにこたえていきたい」と考えた時、保育士という役割は一旦置いて、私の学んできた考えを基に子育てについての情報を届けられる仕事ができたらと、フリーランスで子育てアドバイザーとしての活動をはじめたんです。

これからは役割をもっと広げて、子どもがいない人にも子どもたちがいる社会について考えてもらえるようなきっかけづくりがしたい。同時に子どもたちにも、いろんな考え方、世代の人と触れ合って新しい価値観を知ってもらえたらと思っています。子育てが終わった60代、70代世代の方々に、子どもたちが成長していく楽しさを改めて感じてもらえたらいいなという思いから、子どもたちと一緒に料理をしたり、絵を描いたりするワークショップを考えたり、私の知り合いのアーティストさんたちと子どもを交えたワークをやってみたり。そんな面白い取り組みをしつつも、これからより増えるだろうと思われる貧困からくる虐待や、性教育など子どもたちが直面するさまざまな問題にもしっかりと向き合い、子どもも大人も幸せになれる社会づくりを考えていけたらと思っています。

PROFILE

東京都生まれ。子育てアドバイザー。平成14年に保育士・幼稚園教諭の資格を取得。保育士・幼稚園教諭として15年以上現場で働く。現在は、子育てアドバイザー、保育環境アドバイザーとしてウェブで記事を発信するほか、セミナーやワークショップなど幅広い分野で活躍。「育児も保育も、ファッションも男女の境はない。ジェンダーレスな未来を目指す」がひとつのテーマ。
インスタグラム:https://www.instagram.com/9.11.21
Photo : Sogen Takahashi
Interview & text : Kana Umehara
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