エキ・リテール・サービス阪急阪神×ASICS WALKING <br>「自分の足で、街の魅力を見つける喜びを」
「阪急阪神ミッションラリー」主催者と語った、歩くこと、街のこと。
TALK ABOUT WALKING

#WELL-BEING 2023.09.26

エキ・リテール・サービス阪急阪神×ASICS WALKING
「自分の足で、街の魅力を見つける喜びを」

2023年6月からスタートした“常設型”のロゲイニングイベント「阪急阪神ミッションラリー」。制限時間のカウントダウンや得点の集計を専用アプリが管理してくれるので、開催期間中ならいつでも誰でも無料で参加できます。そんな新たなウォーキングイベント開催の経緯と今後の可能性、またロゲイニングの面白さや魅力について、同イベントを主催する株式会社エキ・リテール・サービス阪急阪神 マーケティング部の岩瀬美雪さんと、アシックスウォーキングカテゴリー戦略部部長の山口充が語り合いました。

参加者を選ばないのがロゲイニング

山口:「阪急阪神ミッションラリー」、かなり盛り上がっているようですね。

岩瀬:はい、おかげさまで。今年の夏は猛暑でしたが、思っていた以上にたくさんの方々にご参加いただいています。これから涼しくなっていけば、もっと快適に楽しんでいただけるのではないでしょうか。

山口:夏は信号待ちしているだけでも汗をかきますからね(笑)。そもそも、岩瀬さんはロゲイニングの経験はあったんですか?

岩瀬:今回のイベントを立ち上げるにあたって、大人から子どもまで、誰でも参加しやすいアクティビティにしたいと考えていました。そんなときに出会ったのがロゲイニングで、「なぞときFUNロゲイニング」をはじめ、各地のロゲイニングイベントに参加してきました。

山口:初めて体験したときの印象はいかがでした?

岩瀬:とても楽しかったです。歩くことそのものの楽しさに加えて、ミッションをクリアしていくゲーム性や、普段は自発的にやらないことが体験できる点が魅力だと感じました。ちなみに私が参加したイベントでは、ミッションの中に消防訓練や地震体験などがあったんですよ。山口さんはロゲイニングに参加してみていかがでしたか?

山口:シンプルに歩くのではなく、いろいろな要素が詰め込まれているイベントだったので、最初は半信半疑だったんです。でもいざやってみると、適度な運動にもなるし、頭も使うし、スポーツと遊びの要素がうまくミックスされていて楽しめました。私たちは「ウォーキングで心身ともに健康になろう」をテーマにしているので、まさにそれを体現してくれるアクティビティだと感じましたね。

岩瀬:体力の優劣に関係なく楽しめるのがポイントですよね。あと、制限時間が近づくにつれて「やばいやばい!」なんて言いながらつい小走りになってしまったり、そんな童心に帰れてしまう感じも良くて。得点やランキングといったゲーム要素もあるので、長い距離でも自然と歩けてしまいますね。

山口:実は、3月に西宮で開催されたなぞときFUNロゲイニングには、親子で参加したんです。子どもにとっても、チェックポイントを通過したりミッションをクリアしてポイントを獲得するのがとても楽しかったみたいで。年齢や体力に関係なく、親子で一緒になって楽しめるのがいいんですよ。

岩瀬:あとは何と言っても、開催地の街の魅力に触れられること。以前4人でロゲイニングに参加したんですが、そのうちの一人が地元の人だったんです。初めてその街を訪れた私たちが楽しかったのはもちろん、地元の人にとっても、それまで気づけなかった街の良いところを再発見できた喜びと、地元について知ってもらえるうれしさがあったみたいです。

山口:なるほど。

岩瀬:その街ならではの魅力や思い出をシェアするには、ロゲイニングは最適なイベントだと思います。

「歩く」イベントの開催は必然

山口:そうしたロゲイニングの実体験をふまえて、「阪急阪神ミッションラリー」を立ち上げたわけですね。ただ阪急阪神と聞くと、電車に乗って各駅を巡るスタンプラリーのイメージがあるので、正直「歩く」をメインにしたイベントを開催されると聞いて意外でした。

岩瀬:ロゲイニングというフォーマットなら、大人から子どもまで楽しめて、歩きながらその街を周遊できます。そう考えると、沿線にお住まいのたくさんの方々といくつもの街を繋いでいる私たちのような鉄道関連企業こそ、こうしたイベントを開催するのにふさわしいと考えたんです。また会社として、沿線住民の皆さんの健康に貢献できる活動もしていきたいという想いもありました。アシックスさんも、ロゲイニングのような「歩く」イベントに積極的に関わっていらっしゃいますよね。

山口:僕が個人的に歩くのが趣味というのもあるんですが、ウォーキング事業をやっている以上は、ウォーキングの機会をより多く創出していきたい。そう考えたときに、前向きに楽しみながら「歩くこと」に取り組んでもらえるロゲイニングはもってこいなんです。

岩瀬:たしかにそうですね。

山口:ちなみに弊社は、丸一日かけて100kmを歩く「エクストリームウォーク」というイベントのゴールドパートナーも務めています。そうしたアスリート色のあるイベントと、「なぞときFUNロゲイニング」のようなユーザーフレンドリーなイベントに両輪で関わりながら、歩くことの楽しさや可能性を広く発信したいと考えています。

没入感を与える仕掛けづくり

山口:「阪急阪神ミッションラリー」開催の経緯をお聞かせいただけますか。

岩瀬:まず、私たちでロゲイニングイベントを行うなら、1日で終わる単発イベントではなく、常設形式で長期間開催できる沿線イベントにしたいと考えました。そんな折、なぞときFUNロゲイニングを運営している株式会社イーシーナさんから、「常設形式でも使えるようにロゲイニングアプリを改良している」というお話を伺って、これはいいタイミングだと思い本格的に企画をスタートさせました。

山口:西宮を開催地にしたのは、街の規模感やアクセスの良さからでしょうか。

岩瀬:そうですね。阪急と阪神の両路線の駅が徒歩圏内にあるということもあり、まずは西宮がベストだと考えました。

山口:「街のスクープを見つけよう」というテーマも面白いですよね。

岩瀬:以前、長野県須坂市のなぞときFUNロゲイニングに参加したときに、街の歴史やストーリーを上手になぞ解きに落とし込んでいることに感心しました。私たちも参加者に没入感を与えられるフックが用意できればと思い、「新聞記者」という設定を考えたんです。

山口:役割を与えられると、歩く動機づけになりますしね。街の魅力を「スクープ」と言い換えたのも秀逸ですね。

岩瀬:実は小学生の頃に、街を歩いてそこの特色や魅力を探そうという課題があったんです。そのときに、何も知らずにふらっと入ってしまったのが友禅染の会社でした。当然アポなしだったんですけど、布を染めていく様子などを快く見せていただいたことがあって。

山口:そこで街のスクープをゲットしていたわけですね(笑)。

岩瀬:そうなんです。それ以来、自分の足で街を歩いて、面白いものを探したり、見つけたりするのが好きになりました。もしかすると小学生のときのこの体験が、阪急阪神ミッションラリーの企画に繋がっているのかもしれません。

まだ見ぬ街の魅力を掘り起こしたい

山口:今後、西宮以外の街でも開催する可能性はあるんでしょうか。

岩瀬:阪急・阪神沿線で言うと、梅田のような大都会もありますし、箕面のように自然豊かな観光地もあって、それぞれウォーキングや散策に適している場所だと思います。今後いろいろな街で常設型ロゲイニングをシリーズ化していくとしたら、そのたびに違った色が出せるのではと考えています。アシックスさんは神戸がお膝元ですが、山口さんのオススメのウォーキングスポットはありますか?

山口:歩いていて一番つまらないのは、景色の変化がないこと。でも基本的に阪神間にある街は、南北を山と海に挟まれているので、歩いているだけで海、市街地、川、山とどんどん景色が移り変わっていきます。それで言うと芦屋あたりは面白いでしょうね。あと阪急線は京都まで繋がっているので、観光とロゲイニングを絡めたイベントもできるかもしれません。

岩瀬:それもいいですね。個人的には、いわゆる「中間駅」と呼ばれる、特急電車などが止まらない駅に興味があります。普段はなかなか降りる機会がなくても、気になる駅はいくつかあって。そうした見過ごされがちな街の魅力を掘り起こすのも面白そうです。

山口:ウォーキングやロゲイニングには、まだまだいろんな可能性がありそうですね。本来歩くことは、人間にとって最もプリミティブな行動のひとつ。我々としては、「歩く」を単純な移動や健康のための手段ではなく、心の満足にも繋げていけるような活動をしていければと考えています。

岩瀬:自然、観光名所、グルメなど、その街の魅力をギュッと短時間で楽しんでもらえるのはロゲイニングならでは。私たちも鉄道というリソースを生かし、今後もより広い範囲で、より多くの人に楽しんでもらえるようなロゲイニングイベントを考えていきたいです。

PROFILE

岩瀬美雪
京都府出身。大学を卒業後、阪急阪神ホールディングス株式会社に入社し、株式会社エキ・リテール・サービス阪急阪神 マーケティング部に配属。まだ入社2年目ながら、「阪急阪神ミッションラリー」の開催にあたって企画から運営に至るまで中心的な役割を果たした。

PROFILE

山口充
株式会社アシックス ウォーキング統括部 カテゴリー戦略部長。ファッションブランドなどでのマーチャンダイザーを経てアシックスに入社し、2019年より現職。2021年にアシックスのウォーキングに関する取り組みの発信を目的に「ASICS WALKING JOURNAL」を立ち上げた。100㎞を26時間以内にゴールする「エクストリームウォーク100」を2回完歩した経験を持つ。
Photo:Kohei Watanabe
Edit+Text : Taro Takayama(Harmonics inc.)