●植物の香りは、心と身体に深く響くから。
ウォーキングとビューティの関係を紐解く、ビューティライターAYANAの連載「WALK ON YOUR COLOR」。毎回テーマを変え、ウォーキングというフィルターを通してキレイのヒントを探ります。
第9回は、香りをウォーキングにうまく活用してみよう!というもの。香りは人の記憶や情動に働きかけると言われています。特定の香りを嗅ぐと、懐かしい気持ちになったり、すっきりとリフレッシュしたり、安心したり……誰しも、そんな経験があるのではないでしょうか。ならば、ウォーキングの質を高めたり、やる気をコントロールすることだってできるはず!
そこで、THENN AROMATHERAPYを主宰する精油療法士の加藤広美さんにお話を伺いました。加藤さんは「精油」のスペシャリストです。精油とは、水蒸気蒸留や圧搾などの方法で、植物から凝縮した揮発芳香成分を抽出したものです。
「精油は、植物が光合成によって作りだす油分から成る天然の化学物質です。匂いとして認知したときは鼻から脳へダイレクトに伝わりますが、呼気から口を通って肺へ、スキンケアやボディケアを通して肌へなど、脳だけでなく全身に影響を与えることができます。また、長く香りが残る香水とは異なり、精油の香りには揮発性があるため後残りしにくい特徴があります。嗅覚はとても疲弊しやすい器官なので、香りから適度な刺激をもらった後には、香りが残らない方が脳も疲れず、ウォーキングのパフォーマンスを維持しやすいでしょう」(加藤さん)
シーンにあわせたおすすめの香りを、具体的なアイテムとともにリコメンドしていただきました。
●ウォーキングがおっくうな時に、背中を押してくれる香りは?
ウォーキングしようと決めていたけど、いざ朝になるとあと5分だけ寝ていたい。仕事帰りに歩こうと思っていたのに、その時間になると面倒になる。そんなグズグズした気持ちに喝を入れてくれる香りはどんなものでしょうか。
「けだるさを感じる朝は、一気にポジティブな目覚めへ持っていくよりは、ソフトにニュートラルなモードへ整えていくと無理がありません。瞑想のように心を整えるフランキンセンス、血圧を整えながら体内器官を始動していくようなローズマリー、前向きな気持ちを応援するレモングラスなどはどうでしょうか。反対に、少し疲れを感じる夕刻には、あと一息、意識の回復に誘うような香りを。高揚感をくれるベルガモットやレモン、リフレッシュさせてくれるペパーミント、意欲を刺激するスパイシーなコリアンダーなどがおすすめです」(加藤さん)。
(写真左から)
[朝に]
■SINN PURETE マインドフルフレグランス/
Stillness and Energy(静けさとエナジー)
レモングラスやオレンジの香りで、さわやかな朝のスタートを。呼吸も通りやすく。
株式会社JIMOS(0120-465-952)
■OFFICINE UNIVERSELLE BULY
モンアトスのお香 ビザンチン
美しい春の庭と聖堂の静寂を思わせる、フレッシュで深いハーブの香り。
Buly Japan 株式会社(0120-09-1803)
[夕刻に]
■Aesop ボディスプレー
コリアンダーやベチバーの爽やかな香り。携帯できるので外出先でひと吹きしてリフレッシュ。
イソップ・ジャパン(03-6271-5605)
■OSAJI ニュアンス スキン フィックスミスト
Yuusuzumi〈夕涼み〉
アオモジ、ペパーミント、フランキンセンスなどによる澄んだ香り。メイク直しも兼ねて、顔にスプレーを。
OSAJI(0120-977-948)
●ウォーキング中にテンションを上げて、ぐんぐん歩かせてくれる香りは?
いざ、ウォーキングに出発!一歩を踏み出せたとして、次の課題は継続。それなりに長い時間歩いたほうが身体にはいいわけで、このへんで終わりにしてお茶でもしようかな?なんて誘惑を跳ね除けて、楽しく軽快に歩き続けてみたいもの。そんなとき、どんな香りが味方になるんでしょう。
「まずは心地いい呼吸を助けるユーカリのような香りはどうでしょう。頭の重さや喉の詰まりを一掃し、胸を開いてくれるので、爽快な気分で歩くことができると思います。それから、ポジティブな気持ちにしてくれるグレープフルーツや、心身のバランスを整えてベースアップしてくれるゼラニウムのような香りもいいですね。スプレーやロールオン、あるいはティッシュに精油を垂らしたものなどを持ち歩けば、香りを楽しみながら軽快な気持ちでウォーキングできると思います」(加藤さん)
(写真左から)
■athletia リフレッシングデオドラントミスト
ユーカリをはじめ、清涼感のある精油をブレンドした薬用デオドラントミスト。汗のニオイを抑えて心地よく。
株式会社エキップ(0120-220-415)
■NIEAL’S YARD REMEDIES アロマパルス パワー
グレープフルーツやゼラニウム、ローズマリーの香りでリフレッシュ。
株式会社ニールズヤードレメディーズ
■PERFECT POTION チャクラ バランシング
パルスポイント
ゼラニウムのほかにも24種類の精油をブレンドしたお守りのようなアイテム。おだやかで神聖な香りを手首やこめかみに塗布して。
パーフェクトポーションジャパン株式会社
●ウォーキング後に、心身をメンテナンスしたいときの香りは?
しっかりと身体を動かして、帰宅した後。疲労した心身をやさしくいたわるための香りはあるのでしょうか?
「活性化した状態を整えて、心身のチューニングをするような香りですよね。たとえばフローラルの香りは、心に栄養を与えると言われています。また、心身の疲労を労うバジル、筋肉のこわばりを緩めて巡らせるジュニパーベリーなどもおすすめです。ただ香りを嗅ぐだけでももちろんいいですが、ボディウォッシュやボディオイルなどを活用すると、肌に塗布しながらマッサージもできて、身体がほぐれますので一石二鳥かもしれません」(加藤さん)
(写真左から)
■NEROLILA Botanica インテンシブ
ビューティーセラム
ジャパニーズネロリとゼラニウムのフローラルな香りに包まれて。顔だけでなくボディやデコルテのケアにも。
株式会社ビーバイ・イー
■SHIGETA フリーミー
マッサージオイルに。ジュニパーやローレル、ウィンターグリーンが凝り固まった身体をのびやかに。
株式会社マッシュビューティーラボ(03-5774-5565)
●明日に備えてぐっすり眠りたい!1日を締めくくる香りは?
質のよい活動は、質のよい睡眠があってこそ。明日もまた元気にウォーキングできるよう、1日の終わりに適した香りはどんなものでしょう?
「心の安心、平穏をもたらす香りが最適です。心身を鎮めて、心地よい時間を過ごすサポートをしてくれるサンダルウッドや、アクティブな頭をリラックス方向へと導くマンダリン、脳を休めながら身体に温の要素をもたらすヒノキなど。バスタイムに楽しめるもので香りを取り入れると、心身も清められてさっぱり。肌にダイレクトに触れるものだと、香りもよりしっかり感じられ、入眠時のサポートになると思います」(加藤さん)
(写真左から)
■余 余韻2 トリートメント 濃厚感
マンダリンやフランキンセンスなど、心をやさしく解きほぐすような香りでヘアトリートメントを。
株式会社たかくら新産業(0120-828-290)
■AROMATHERAPY ASSOCIATES エンカレッジ
バスアンドシャワーオイル
ベチバーとサンダルウッドが落ち着きを、クラリセージが明日への希望をもたらすバスオイル。
株式会社シュウエイトレーディング(03-5719-0249)
■Vertueux 011 ルポ・ボディオイル
シトラスとサンダルウッド、バジルの香りが、心と身体に深い安息と開放感を。入浴後のボディトリートメントに。
株式会社エッセンシャルズ(03-3560-5111)
「精油は、薬理からの心身への働きかけと、好きな香りによる心の満足のふたつを同時に得ることができるもの。とても合理的で、かつ情緒的な魅力に富んだアイテムです」と加藤さん。精油そのものをアロマポットなどで焚くのもよいですが、今回ご紹介したような、精油を使ったコスメを上手に利用して、もっともっとウォーキングの効果を上げていけたらいいですね。
PROFILE
PEOTセラピスト、精油療法士。英国IFA(国際アロマセラピスト連盟)に所属し、精油(エッセンシャルオイル)を用いた健康の維持、促進に特化した国内では数少ないPEOT(プロフェッショナル エッセンシャル オイル セラピー)セラピスト。THENN AROMATHERAPYを主宰し、対面でのパーソナルブレンディングを中心に、ワークショップ開催や企業プロダクトの香りの監修や香りでの空間演出を行う。
https://thenn.tokyo/
PROFILE
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美のために生み出されたモノや美に携わる人々についての執筆を行う。化粧品メーカー企画開発職の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。近著にエッセイ集『「美しい」のものさし』(双葉社)。文章講座EMOTIONAL WRITING METHOD(#エモ文)主宰、OSAJI メイクアップコレクションディレクター。
www.ayana.tokyo