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歩く、話す、見つける、
とっておきの街歩き。
SANPO TALK
#07 気取らない休日。
普段着で趣味に興じる大阪 門真~鶴見散歩

#WELL-BEING 2023.04.28

歩く、話す、見つける、
とっておきの街歩き。
SANPO TALK -大阪 門真~鶴見・樋口慎也編(アシックス ウォーキング生産チーム)-

※2023年3月時点の取材内容で構成しています。

その街をよく知るナビゲーターがおすすめの散歩コースを紹介しながら、ご自身のウォーキングスタイルについて語る連載企画「SANPO TALK」。第7回はアシックスのウォーキング生産チームに所属する樋口慎也が、幼少期から慣れ親しみ、今も家族と暮らす大東市に隣接する門真市~大阪市鶴見区周辺のエリアをナビゲート。自らの趣味全開のショップや家族で訪れる癒しスポットをめぐりながら、彼の気ままな休日散歩にお供します。

今回のSANPO TALKは大阪府門真市にある門真南駅からスタート。観光地や市街地からは少し離れた場所ですが、かつては大手家電メーカーの企業城下町として栄え、現在でも大阪市に隣接するベッドタウンとして知られているエリアです。

散歩コースをナビゲートしてくれるのは、アシックスのウォーキング生産チームでシューズの生産計画業務に携わっている樋口慎也。現在の住まいもこの周辺という、まさに地元中の地元を案内してくれます。

「わざわざお越しいただきありがとうございます。派手な場所ではないですが、僕なりの散歩コースをご紹介します。では行きましょう!」

特徴的な形をした東和薬品RACTABドーム(大阪府立門真スポーツセンター)が目を引く門真南駅前。そこからまずは南へと歩いていきます。ふと左手を見ると、遠くに大きな山が。

「あれは生駒山です。山頂には『生駒山上遊園地』という入園無料の遊園地があって、地元の人なら一度は足を運んだことがあるはずです。ちなみに、大阪市内から奈良・京都方面までを一望できる夜景が有名で、デートスポットとしても人気があります。まあ、僕はデートでは行ったことないですけどね(笑)」

生まれは門真市の隣にある四條畷(しじょうなわて)市。幼少期に父の仕事の都合で東京に住んでいた2年間をのぞき、ずっと門真・鶴見周辺で過ごしてきたのだそう。道中、「ほんまに何もないところなんですよ」と謙遜しつつも……。

「生まれ育った場所だから愛着もあるし離れられないですね。実際、梅田や心斎橋といった市街地へのアクセスもしやすいですし、大阪湾をぐるっと囲む大阪中央環状線という道路もあって、車での移動も便利。すごく住み心地のいい街だと思います。あ、最初の目的地が見えてきましたよ」

指差した先には「昭和44年創業 洋食屋」と書かれた看板が。この日最初に立ち寄ったのは「カフェ レストラン YACHIYO」。かわいらしい佇まいの洋食屋さんです。

実は樋口がアシックスの販売員として最初に勤務していたのが、このお店の斜め向かいにあるアウトレットモール。当初はアルバイトで働きはじめたのだそう。

「僕の時代は超就職氷河期でした。なので、アルバイトしながら仕事を探すためという理由で、このモールにあったアシックスの店舗に既に勤めていた友人の誘いで働き始めました。あれから22年になりますが、アルバイトから正社員になって今でも勤務している従業員は、かなりレアになりました」

アウトレットモールでの販売員時代は、あまりの多忙で休憩時間も不規則。接客の合間にコンビニ弁当で昼食を済ますことが多かったのだとか。そんな中、給料日や少し時間があるときに訪れていたのがYACHIYOでした。

「たまにはちょっといいものが食べたいな、という気分のときに来ていました。ここの名物は『タカマツライス』。ご飯の上にオムレツとトンカツがのっていて、その脇に特製デミグラスソースとカレーがかかっているんです。ほかの料理もおいしいですし、街の洋食屋さんという雰囲気で、来るたびに和みますね」

ちなみに、玉子とカツだからタマカツライスと思いきや、タカマツライスが正解。ネーミングの由来は、店主が応援していたバドミントンダブルスの“タカマツペア”からなんだとか。「僕もしばらく勘違いしてました」と笑いながら、散歩を再開します。YACHIYOがある交差点から、大阪中央環状線にぶつかるまでしばらく通りを南下。両サイドに団地、ドラッグストア、酒屋さん、公園などが並ぶ、住宅街らしい道のりが続きます。

「次の目的地は、毎週のように通っている場所です。一部の層にしか興味をもたれないかもしれませんが」

しばらくして到着したのは、「フィッシングエイト3」という釣具屋さん。ここから車で20分ほどのところにいい釣り場があるそうで、週末は特ににぎわうお店なのだとか。店内には、海、淡水、ルアーと釣りの種類を問わずさまざまなアイテムがびっしり。樋口も「釣りは凝り出すとキリがないんです」と苦笑いしながらお店の中へ。

「釣具を見ながら、『これを買えばもっと釣れるかな』なんて妄想をふくらませていると、1時間くらいあっという間に過ぎてしまうんですよね……。僕の場合、週末だけでなく、仕事帰りに立ち寄ることもあります。途中下車して釣具を見にここまで歩いて、気が済んだらまた歩いて家に帰る……というふうに、ここを中継ポイントにして散歩もしています。釣りと同じくらい、歩くのも大好きなので」

釣具屋をあとにして再び歩き出したところで、普段どのように散歩を楽しんでいるのか聞いてみました。

「僕は行き当たりばったりの散歩が好きですね。そもそも『そんなに急がんでもええやん』と思うタイプなので、目的地まで最短ルートで行くよりも、通ったことのない道にどんどん入っていって、“積極的に迷子”になりに行く。そこで偶然得られる発見が楽しいんです。仮にその先が行き止まりだったとしても、それも面白い発見のひとつですからね」

大阪中央環状線とその上を走る近畿自動車道。地上と高架の2本の道の間にかけられた長い歩道橋を渡ると、不思議な形をしたドーム型の建物が見えてきました。

樋口が案内してくれたのはそのドーム。「レインボードーム花博店」というバッティングセンターです。

「草野球を20年以上続けていて、季節ごとに開催される大会にも出場しているんです。このバッティングセンターにはずっとお世話になっていて、暇つぶしやレジャーというよりも、試合前の調整のためにバットを振りに来ています」

レインボードーム花博店は1997年にオープン。少年野球が盛んな土地柄もあり、平日の夕方や週末には、将来プロを夢見る子どもたちがたくさん訪れるそう。ここで腕を磨いて、甲子園に出場した選手もいるのだとか。

「でも、うちは子どもが2人とも女の子なので、家族でバッティングセンターに来たことはなくて。釣りもそうですが、自分の趣味を娘と共有できないのは少し寂しいですね」

そう言いながら慣れた様子で打席に入ると、見事なスウィングで快音を響かせます。1ゲーム20球。心地いい汗をかいたところでレインボードームをあとにし、目の前の府道15号を一路西へ。

散歩もそろそろ終盤ですが、テンポよく歩いて、白球も打ち返して、そろそろ小腹が空いた頃。道中のお店でたこ焼きを仕入れて辿り着いたのは、「花博記念公園 鶴見緑地」です。

「高校時代はこの公園の目の前の道が通学路だったんですが、たまにふらっと立ち寄る程度でした。でも結婚してから、家族と一緒に訪れることが一気に増えましたね」

園内に入り、長い並木道を抜けた先のベンチでしばし休憩。「本当は冷たいハイボールがあれば最高です(笑)」と笑いながら、買ったばかりの熱々のたこ焼きを頬張ります。

「今となっては、ここはお気に入りのランニングコースでもありますし、子どもたちとピクニックに来たり、乗馬クラブの馬を見に来たり、桜の季節には花見に来ることも。あと園内にあるパークゴルフ場には両親も連れて来ますよ。広々としていて施設も充実している花博記念公園は、まさしく地元の人たちの憩いの場なんです」

ここは「国際花と緑の博覧会」という、1990年に開催された博覧会の会場だった場所。その後、徐々に規模や施設を拡充させ、現在は122ヘクタール(東京ドームおよそ26個分)もの広大な市立公園となっています。

「最後にちょっと公園内を散策しましょう」と、カモやカワセミが生息する大きな池、色とりどりの花が咲く花壇に立つ立派な風車などをのんびりめぐったところで、今回のSANPO TALKは終了です。

名所、観光スポット、行列の絶えない流行りのお店。そうした特別な何かがない場所でも、歩いてみれば発見や喜びがあることに、あらためて気づかせてくれる散歩でした。

次の休日は、これまで通ったことのなかった地元の道や、ふいに途中下車した知らない街を歩いて、時にはあえて迷子になってみたり。そんな気取らない散歩に出かけてみるのもいいかもしれません。

カフェ レストラン YACHIYO
住所:大阪府大阪市鶴見区茨田大宮2-9-10
電話:06-6911-5978

フィッシングエイト3
住所:大阪府大阪市鶴見区茨田大宮2-2-27
電話:06-6912-0008

レインボードーム花博店
住所:大阪府門真市ひえ島町215-1
電話:072-887-3333

花博記念公園 鶴見緑地
住所:大阪府大阪市鶴見区緑地公園2-163
電話:06-6911-8787

PROFILE

樋口慎也(ひぐちしんや)
2001年、アシックスグループに入社。アシックスファクトリーアウトレット大阪を皮切りにリテールに従事したのち、2009年からはアウトレット商品のマーチャンダイジングに携わる。現在はウォーキング生産チームの一員として、サプライチェーンマネジメント業務を担当している。
Photo : Sogen Takahashi
Edit+Text : Taro Takayama(Harmonics inc.)