モダンな住宅街と酒づくりの街。<br> なぞときFUNロゲイニングで触れた西宮の魅力
隠れた名所がいっぱいの都市型ロゲイニング
NAZO TOKI FUN ROGAINING in NISHINOMIYA

#WELL-BEING 2023.04.21

モダンな住宅街と酒づくりの街。
なぞときFUNロゲイニングで触れた西宮の魅力

昨年秋から関西地方での開催もはじまった「なぞときFUNロゲイニング」。知力と体力を駆使しながら、その街の文化や美しい景色に触れられるというこのイベントが、いま全国に広がりはじめています。今回は3月19日に行われた「なぞときFUNロゲイニング in 西宮」の模様をお届け。参加者は過去最多の61チーム201名、舞台は閑静な住宅街として知られる兵庫県西宮市という、これまでとはスケールも雰囲気もひと味違ったロゲイニングを振り返ります。

知力と戦略がモノをいう「なぞときFUNロゲイニング」

ロゲイニングはもともと、地図を頼りに指定されたチェックポイントをできるだけ多く回り、獲得したポイントで順位を競うスポーツ。そこに知力やひらめきを要する「なぞとき」と、開催する土地ならではの文化やスポーツ体験という要素をミックスしたのが「なぞときFUNロゲイニング」です。ポイントを競うアクティビティではありますが、体力のない子どもやお年寄りでも十分に楽しめる内容となっているので、スポーツというよりも“ゲーム感覚の街歩き”と表現するのがぴったりかもしれません。

なぞときFUNロゲイニングは、これまで長野県須坂市、静岡県三島市、千葉県市原市(養老渓谷、高滝湖)などで開催されてきましたが、風土や自然はもちろん、歩くからこそ見られる景色や、地元の方々との触れ合いが楽しめるイベントとして回を追うごとに認知度を高めています。そんな「なぞときFUNロゲイニング」が、3月19日に兵庫県西宮市で開催されました。

関西を代表する住宅街が今回の舞台

関西地方では2度目の開催となる「なぞときFUNロゲイニング in 西宮」。タイトルどおり、舞台は兵庫県西宮市です。

大阪市と神戸市のちょうど中間に位置している西宮市。明治時代後期から当時最先端の芸術や生活様式を取り入れた「阪神間モダニズム」という文化圏を形成し、著名人や富裕層に愛される高級住宅街として栄えてきました。歩いていると、当時の雰囲気を残す洋風建築を見かけることがしばしば。

また西宮は、「西宮の水」を略した「宮水(みやみず)」と呼ばれる硬水が湧き出す、日本を代表する酒造りの町としても知られています。さらに桜の名所として知られる夙川エリアや西日本でも最大級のショッピングセンターを擁し、居心地の良さや利便性の高さは関西でも屈指。独特の歴史と魅力的な文化が交差する西宮は、じっくり歩いてめぐるのにうってつけの町といえるでしょう。

エントリー数は過去最多! 勝敗を分ける作戦タイム

9時00分。集合場所では早くも、大勢の参加者たちが受付の列を作っていました。エントリー数は本イベント史上最多。当初の定員は200名だったそうですが、開催2週間前には埋まってしまったんだとか。

集合場所となったのは、西宮市役所のとなりにある六湛寺(ろくたんじ)公園。園内には地元カフェのキッチンカーの出店や、自衛隊兵庫地方協力本部 西宮地域事務所の協力で、隊員の迷彩服や移動用車両の展示も行われていました。特に自衛隊車両の乗車体験は、子どもたちからも大人気。

9時30分。ステージでは開会式がスタート。ルール説明が行われたあと、各チームは作戦会議へと入ります。

今回のチェックポイントは全部で31ヵ所。1点から140点までのポイントが割り振られており、すべてまわれば合計1,479ポイントになりますが、制限時間内にすべてめぐることは不可能。思い切って高得点のチェックポイントを取りに行くか、近場のチェックポイントを確実に潰していくか、事前のルート選びが勝敗を分けます。

道中には、アメフト体験やミニ四駆レースなど、クリアすることでボーナスポイントがもらえる10個の「ミッション」も散りばめられています。こちらもすべてクリアできれば800点獲得となり、上位進出を目指すならなるべく多くチャレンジしておきたいところ。

そして「なぞときFUNロゲイニング」最大の特徴といえばなぞとき。今回も西宮の地名や歴史にまつわる難問が用意され、参加者を悩ませます。すべての謎に正解すれば1,200点と上位を狙うのならクリアは必須。このように体力のみならず、知力とひらめき、戦略と決断力も試されるのがこのイベントの面白さなのです。

なお、通過したチェックポイントの登録やなぞときの回答、得点の集計などは、専用アプリから行います。このアプリによって、リアルタイムで他チームの得点状況が分かるほか、ゴール後の集計時間も短縮され、今まで以上にストレスなく楽しめるイベントとなりました。

61チーム、201名が一斉にスタート

10時00分。スタートの合図とともに、200名以上の参加者が六湛寺公園から飛び出していきます。多くのチームが、集合場所付近にあるチェックポイントから確実にクリアしていく作戦をとっている模様。またルートの中で、ミッションのチャレンジをうまく取り入れられると効率よく得点が稼げます。

今回のロゲイニングマップは、南北に約3.5km、東西に約2.0kmの範囲で構成。六湛寺公園の北側、とくに東西に走る阪急神戸線より北のエリアは急坂が多いいわゆる“山の手”と呼ばれる街区。昭和初期に建てられた邸宅や小学校など、モダンな風情を漂わす建物が多く、それらが実際にチェックポイントにもなっていました。なお坂道や階段が多い分、高得点が獲得できるチェックポイントも北側にあります。

桜の名所と酒どころをめぐって、ゴールへ

マップ南側のエリアは海に近いため平坦な地形が中心。この地域では「宮水」と呼ばれる酒造りに適した硬水が湧き出ることから、江戸時代から酒造業が栄えたことで知られています。今回のロゲイニングでも、「銘酒のまち西宮」と記された看板や、宮水発祥の池など、お酒にまつわるスポットがチェックポイントとなっていました。

高級住宅街に酒造業と、北と南で別々の表情をもつ西宮。そのふたつをつないでいるのが、南北に流れる夙川です。夙川河川緑地は桜の名所としても知られており、ロゲイニングで先を急ぐ中、つい足を止めて麗らかな川の流れに見入ってしまいます。

チェックポイントに併設されたいくつかのミッションの中でもとりわけ人気だったのは、西田公園で行われた地元のアメリカンフットボールチーム「西宮ブルーインズ」の選手とチアによる、実戦さながらのパスキャッチとポンポンを手にしたチアリーディング体験。選手やチアの皆さんのノリの良さもあって、参加者の顔からは自然と笑顔と歓声があふれていました。

西宮のさまざまな表情を楽しんだロゲイニングももう終盤。12時30分に設定された制限時間を前に、徐々に各チームが六湛寺公園に戻ってきました。

歩き疲れて地面に座り込んでしまう人、キッチンカーのフードやドリンクでひと息つく人、時間ギリギリまでなぞときに没頭する人。みんなそれぞれのスタイルで、「なぞときFUNロゲイニング」を満喫していました。

13時00分。いよいよ結果発表です。

アシックス「GEL-RIDEWALK LIGHT」を獲得した優勝者は……?

司会者から上位入賞を果たしたチーム名がコールされていきます。まず3位は、チーム「ぴよりん2号」。獲得ポイントは2,048点。2位はチーム「SRE」で2,102点。そして栄えある優勝は……2,233点を獲得したチーム「佐竹家」! 佐竹 敦さん・肇くん親子のチームです。早速おふたりに喜びの声を聞いてみました。

「親子で楽しく歩いて、賞品までもらえてうれしいです。 勝因ですか? 北側にあった高得点のチェックポイントは捨てて、その分たくさんのチェックポイントとミッションをクリアすることを心掛けました。なぞときは最後の一問だけ答えられなかったんですが、チェックポイント、ミッション、なぞときでバランスよく得点を稼げたことがよかったかな」(敦さん)

お父さんと参加した肇くんも、疲れ知らずで終始積極的にロゲイニングを楽しんだ様子。

「なぞときも解けたし、たくさん歩けて楽しかった! また出たいです」(肇くん)

チーム佐竹家には、アシックスより「GEL-RIDEWALK LIGHT」をプレゼント。小学校2年生の肇くんには、キッズ用のスニーカーが贈られることになりました。

こうして丸一日、快晴の中で行われた「なぞときFUNロゲイニング in 西宮」。今回は人や交通量の多い都市部での開催でしたが、参加者のみなさんが節度を守りながら楽しんでくれたおかげで、事故やトラブルもなく全員がゴールすることができました。

最後は、恒例となった参加者全員での記念撮影。この表情が、参加したみなさんの満足感を表しています。次回の「なぞときFUNロゲイニング」は、再び千葉県・高滝湖を舞台に、4月1日~6月30日までの期間中、好きなタイミングで参加できる常設方式を採用するそう。これまで以上に自由に、気軽に楽しめそうな「なぞときFUNロゲイニング」、興味を持った方はぜひ参加してみてください!

主催者に聞いた「なぞときFUNロゲイニング」のこれから

イベント終了後、「なぞときFUNロゲイニング」の企画運営を手掛ける株式会社イーシーナの大久保翔平さん(写真右)と、今回主催をした株式会社エックスカントリーの林 孝洋さん(写真左)にイベントを振り返ってもらいました。

大久保 関西では2回目の開催だったのですが、まさか2週間前に募集定員が埋まってしまうとは思いませんでした。今日もすごく盛り上がってくれてうれしいです。

 今回の開催にあたっては、チェックポイントやミッションの準備など、地元とのコネクションが必要な部分は、西宮にオフィスがある私が担当し、全体を統括しながら誰でも楽しめるゲームに落とし込むのが大久保さんという役割分担で進めました。結果的に関西でも盛り上がったという実績ができたので、「なぞときFUNロゲイニング」をさらに全国に広められるのではないかと期待しています。

大久保 これまで自然が豊かでのどかな場所を舞台に開催してきましたが、今回は人もクルマも多い都市部での開催ということで、少し不安な面があったんです。でも事故もなく終えられましたし、西宮の道がほどよく入り組んでいることもあって、迷路みたいな感覚で楽しんでもらえたのではないかと思います。

 今後も、関西の他の自治体から「うちでやってほしい」という声があれば、ぜひお応えしていきたいですね。

大久保 あと「なぞときFUNロゲイニング」の新たなチャレンジとして、常設型のイベントも企画しています(4月1日から千葉県・高滝湖で開催中)。スタート地点で配布しているマップをもとに、スタンプラリーのような形式でロゲイニングを楽しんでもらうものになります。常設型だと定員を設ける必要がないですし、誰でも好きな日時に参加できるのがメリット。またスタートやゴール、チェックポイントの通過などは専用アプリで管理しているので、結果やランキングもすぐにチェックできます。気軽にロゲイニング体験ができるので、ぜひたくさんの人に楽しんでほしいです。

 コロナの影響で減っていたお祭りやイベントが、徐々に復活しています。「なぞときFUNロゲイニング」もさまざまなかたちで積極的に開催していくつもりなので、ぜひ期待していてください。

Photo:Takahashi Sogen
Edit+Text:Taro Takayama(Harmonics inc.)