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歩く、話す、見つける、
とっておきの街歩き。
SANPO TALK
#04 上品さとあたたかさ。
過ぎゆく景色すべてが愛おしい自由が丘散歩

#WELL-BEING 2023.01.20

歩く、話す、見つける、
とっておきの街歩き。
SANPO TALK -自由が丘・甲田愛子編(アシックスウォーキング渋谷 店長)-

※2023年1月時点の取材内容で構成しています。

その街をよく知るナビゲーターがおすすめの散歩コースを紹介しながら、ご自身のウォーキングスタイルについて語る連載企画「SANPO TALK」。第4回目は、アシックスウォーキング渋谷で店長を務める甲田愛子が、かつて働いていた場所であり、今でも足繁く通うお気に入りの街、自由が丘を散策します。おしゃれで洗練されたイメージがあるエリアですが、彼女がナビゲートする自由が丘は、どこか懐かしさや親しみやすさも感じさせてくれる街でした。

おしゃれなカフェや雑貨店、アパレルショップなどが立ち並び、「スイーツの街」としても知られる自由が丘。遠方からも多くの来街者を集める繁華街でありながら、周囲は閑静な住宅に囲まれ、落ち着いた雰囲気が漂っています。また個性的な通りや小路が多く、ぶらりと散歩をするのにはうってつけの街でもあります。

そんな自由が丘をナビゲートしてくれるのは、以前アシックスウォーキング自由が丘(現在は閉店)に勤務していた甲田愛子。すっかり自由が丘の魅力にはまってしまった彼女は、アシックスウォーキング渋谷に勤める現在でも、よく自由が丘に足を運んでいるのだとか。

「渋谷のお店に出勤する前に、よく自由が丘で途中下車して朝散歩をしています。この街で心と体をリフレッシュさせてから、徐々に仕事モードに切り替えていくというのが理想の朝の過ごし方ですね」

この日は時折霧雨が降るあいにくの天候ながら、甲田曰く「これくらいの雨なら全然お散歩できますよ」とのこと。

「雨でしっとりとした雰囲気の自由が丘もいいじゃないですか。空気も澄んだ感じがするし、濡れた石畳の路面も風情を感じさせますよね」

そんな彼女が履いてきたのは、ビジネスからカジュアルまで、さまざまなシーンで着用できるデザインと機能性が特徴のPEDALAソフトラギッド。

「厚底ですけど、衝撃緩衝機能GELを搭載しているのでたくさん歩いても足の負担が少ないんです。
またラバースポンジソールなので、今日みたいな日でも快適な履き心地。デザイン的にも甲のベルトと金具がかわいらしいですよね」

今回のお散歩は、自由が丘駅前のロータリーからスタート。歩きはじめると早速、女神通りやカトレア通りといった大きな通りには目もくれず、「豊川稲荷大明神」の鳥居が立つ細い横丁を入っていきます。

「自由が丘って、つい歩きたくなる街なんですよ。こうした横丁や小さな路地がたくさんあって、『この道の先には何があるんだろう?』という期待感を抱かせてくれる。私の場合はこれといった目的がなくても、自由が丘は延々と歩いていられます。この数年でもうほとんどの道を歩き尽くしたんじゃないかな(笑)」

最初の目的地は、通称サンセットアレイというエリアにあるコーヒースタンド。その名も「Sunset Coffee(サンセットコーヒー)」。

「このお店はずっと通い続けていて、店員さんとも顔見知り。ここでコーヒーを買ってお店の前で飲みながらひと息入れたり、コーヒー片手に散歩を続けたり……というのが自由が丘に来た時のルーティンですね」

コーヒーは三軒茶屋の有名ロースターが監修した豆を使用し、オーダーごとに店員さんが丁寧にドリップしてくれます。お店のコンセプトは「life begins after coffee -1日はコーヒーで始まる-」。まさにお散歩のスタートにぴったりのスポットです。

すっきりした味わいのコーヒーを飲み、あらためて体が目覚めたところでお散歩を再開。次は自由が丘屈指の“映えスポット”を目指します。

それにしても気持ちよさそうにテンポよく歩く甲田。もともと散歩やウォーキングは好きだったのでしょうか。

「学生時代はバスケットボールをやっていて、体を動かすこともずっと好きでした。それがアシックスに入社したきっかけでもあります。散歩が好きになったのは、仕事柄、店舗の中にいる時間が長いので、その反動からかもしれません。仕事の前後はもちろん、休憩時間もなるべく外を歩いて気分転換するようにしています」

カトレア通りを北上すること数分。到着したのは「ラ・ヴィータ 自由が丘」。イタリアはヴェニスの街並みを再現した商業施設で、撮影やロケにもよく使われることで有名なスポットです。

「ここにはおしゃれなお店もたくさんあるんですが、写真を撮るために訪れることもよくあります。360度、どこを背景にしてもかわいい写真が撮れるんですよ。こんな場所があるのも自由が丘ならではかなと思います」

次に目指すのは、彼女もまだ足を踏み入れたことがないという園芸店「Buriki no Zyoro(ブリキのジョーロ)」。八幡通りを等々力方面に向かって歩いていくと、看板代わりのおおきなじょうろが見えてきました。

「目の前を通るたびに“かわいいお店だな”と思っていたんです」

多種多様なお花やグリーンは、2フロアにわたる店内だけでなく、店先のテラスにもあふれるように所狭しと並んでいます。

「ちょうど部屋に観葉植物を取り入れようかなと思っていたところ。お世話が楽だというサボテンを中心に見ていたんですが、思っていた以上に手頃な価格でかわいいサボテンがたくさんありました。今度あらためて買いに来たいと思います」

つい長居をしてしまったBuriki no Zyoroを出て、九品仏川緑道へ。サクラやキンモクセイなどが植えられ、立ち並ぶ木々からも季節を感じつつ歩くことができます。

「ここを歩いていると、ちょっと余裕のある大人になった気分になれるんですよね」と語る甲田に、歩くこととリテールの仕事の関係について聞いてみました。

「私にとって歩くことは趣味や気晴らしでもありますが、“働いている街を知る”という意味でとても大切です。これまでどの配属先でも、必ずお店の周辺を歩いて散策するように心がけてきました。こうして自分の足で収集した情報が、お客様とのコミュニケーションや接客にすごく役立っているんです」

と、話しながら歩いていると突然、甲田は緑道脇で作業をしていた配送業者のおじさんに声をかけました。

「こんにちは。ご無沙汰してます」
「あ、甲田さん。今日は自由が丘の案内役?」
「そうなんです。ラ・ヴィータやBuriki no Zyoroに行ってきましたよ」
「へえ。天気がよければもっとよかったね。いってらっしゃい」

聞けば自由が丘店で働いていた頃に、このエリアの荷物の集荷・配送を担当されていた業者さんだそう。こんな情景が見られるのも、自由が丘の商店街の気さくであたたかい雰囲気ゆえかもしれません。

九品仏緑道をゆったりと歩いたあとは、甲田おすすめのスイーツスポットへ。訪れたのは、日本で初めてモンブランを商品化したという老舗洋菓子店「MONT-BLANC(モンブラン)」。

「自由が丘にはカフェやスイーツショップがたくさんありますが、MONT-BLANCはそのパイオニア。上品で趣きのある、自由が丘らしいお店の代名詞だと思います」

1933年、初代店主がフランスで見たモンブランの山々に感銘を受け、お菓子というかたちでオマージュしたのが栗を使った洋菓子のモンブラン。自由が丘には戦後から店舗を構え、今も当時と変わらぬ製法の元祖モンブランをいただくことができます。

「お客様や知り合いに自由が丘でおすすめのケーキを教えてほしいと聞かれたら、真っ先にこのモンブランを紹介しています。焼き菓子もおいしいので、ここぞの時の手土産にもおすすめですよ」

奇をてらわぬ王道のモンブランはまさに絶品。すると「もうひとつ行きたいお店があるんです」と甲田。最後に案内してくれたのは、昔ながらのお肉屋さん。

こちらは1933年から自由が丘の地で営業をつづける精肉店「稲毛屋」。店舗の場所は移りましたが、店内には創業当時の立派な一枚板の看板が掲げられています。

「私が働いていた自由が丘の店舗はこの真向かいにあったんですが、ご主人は商店街の理事長でもあり、すごくお世話になっていました。私は稲毛屋さんの昔ながらのコロッケが大好きで、当時からよく食べてましたね。あと毎年12月にはクリスマスチキンをオーダーして、スタッフたちと食べるのも恒例でした」

ちなみに今でも、散歩の合間に稲毛屋のコロッケを食べるそう。ご主人曰く「もともとは従業員のまかないで、特別なことは何にもしてないんだ」とのことですが、注文のたびに目の前で揚げてくれるコロッケは、外はサクサク、中はフワフワ。夕飯のおかずにも、街歩きのお供にも最適の逸品です。

揚げたてのコロッケを受け取ると「また来ますね!」と手を振りながら、再び自由が丘駅へ。これにて今回のお散歩は終了です。

甲田自身、「以前は高級で近寄りがたいイメージがありました」という自由が丘。しかし今回のお散歩では、おしゃれなお店や映えスポットだけでなく、歴史ある老舗の名品や、街の人とのふれあいを体験することができました。自由が丘がもついろいろな表情を、ぜひみなさんも歩いて探してみてください。

Sunset Coffee
住所:東京都目黒区自由が丘1-26-14
電話:03-5726-9203

ラ・ヴィータ 自由が丘
住所:東京都目黒区自由が丘2-8-3
電話:03-3723-1881

Buriki no Zyoro
住所:東京都目黒区自由が丘3-6-15
電話:03-3724-1187

MONT-BLANC
住所:東京都目黒区自由が丘1-25-13
※自由が丘駅前再開発に伴い、当初の店舗は閉店中。2月10日より上記住所の仮店舗でテイクアウトのみ営業。

稲毛屋
住所:東京都目黒区自由が丘1-26-6
電話:03-3717-4129

PROFILE

甲田愛子(こうだあいこ)
2012年、アシックスジャパン株式会社に入社。以来、ウォーキング事業部でリテールを担当。地元である横浜を皮切りに、鶴見、自由が丘、蒲田、渋谷の直営店スタッフを歴任し、現在はアシックスウォーキング渋谷の店長を務める。