歩く、話す、見つける、<br class=とっておきの街歩き。
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歩く、話す、見つける、
とっておきの街歩き。
SANPO TALK
#03 京都の街で出会う、
風情と癒しとインスピレーション

#WELL-BEING 2022.12.21

歩く、話す、見つける、
とっておきの街歩き。
SANPO TALK -京都・山田大喜編(「山田繊維」営業&ふろしきコーディネーター)-

その街をよく知るナビゲーターがおすすめの散歩コースを紹介しながら、ご自身のウォーキングスタイルについて語る連載企画「SANPO TALK」。第3回目のナビゲーターは、京都の老舗ふろしきメーカーに生まれ、現在同社の営業&ふろしきコーディネーターとして活動する山田大喜さん。案内してもらうのはもちろん京都。話題のスポットや古き良き通りを歩きながら、地元の人が愛する、とっておきの京都をおすそ分けしてもらいましょう。

言わずと知れた、日本を代表する観光地・京都。平安京が置かれたかつての日本の中心地であり、歴史ある神社や仏閣が多いのはご存知のとおり。そんな京都で観光となれば、祇園、嵐山、金閣寺や清水寺などが真っ先に浮かびますが、今回のSANPO TALKの舞台となるのは京都の市街地、烏丸・四条周辺エリアです。

散歩のスタートは、京都市営地下鉄の烏丸御池(からすまおいけ)駅から。今回の案内役を務めてくれる山田大喜さんとまず向かったのは「新風館」です。

新風館は1926年に竣工した旧京都中央電話局の建物を再活用した商業施設として、2001年にオープン。2020年に再びリニューアルされ、かつての建物の一部を残した「既存棟」と隈研吾氏が監修した「新築棟」からなる、ホテル、映画館、ショップ、レストラン併設の複合施設として生まれ変わりました。

「ここは古き良きものと新しい感性が融合した、“今”の京都を感じられる場所です。庭園のような自然の風景もあるし、感度の高いお店も多いし、空間全体がかっこいいですよね。僕は大学でデザインを専攻していて、前職でもクリエイティブ系の仕事をしていたので、こういう洗練された雰囲気の空間に来ると自然とテンションが上がりますね」と山田さん。

お気に入りは、既存棟と新築棟とつなぐように配された吹き抜けの中庭。都会の真ん中で、来場者に一時の癒しを与えてくれる緑のオアシスです。

山田さんは、併設のホテルが開放しているロビースペースもよく利用しているそう。

「宿泊客以外でも利用できる空間なので、そこでPCを開いて作業をしたり、新しい企画やアイディアを考えたりすることもあります。僕にとって新風館はただの商業施設ではありません。空間そのものや訪れる人々からいろんな刺激がもらえる、インスピレーションの源泉のような場所なんです」

新風館で京都の新しい風を吸い込んだら、次の目的地へ。有名アパレルや老舗カフェが並ぶ、地元の人たち御用達のショッピングストリートである三条通りを5分ほど歩くと……。

「ようこそ、むす美へ」

山田さんのご実家であるふろしきメーカー、山田繊維の直営ショップ「むす美」に到着しました。一見するとふろしき専門店には思えない、スタイリッシュな佇まいのお店です。

店内に足を踏み入れると、唐草文様や浮世絵といった伝統的な図柄はもちろん、ビビッドな色を用いたポップなデザインや、アーティストとコラボしたデザインなど、多彩なふろしきが壁一面に並びます。

「2020年からはレジ袋が有料化されて、エコバッグを使う人が増えましたよね。その流れでふろしきも注目されているんです」

そう言って、ふろしきをささっと結んでバッグ(袋状)にしてみせる山田さん。この日、山田さんが肩から掛けていたショルダーバッグも実は“ふろしきバッグ”。何かを包むだけでなく、バッグやストール、さらにはインテリアの一部としても使えるなど、ふろしきにはまだまだたくさんの活用法があるのだとか。

「このお店を通じて、ふろしきを買うことや使うことの敷居をより下げられればと考えています。もっと身近なものに感じていただけるように、ふろしきの魅力や新たな可能性をこれからも発信していきたいです」

「次は京都らしさ満点の通りにご案内します」と、再び三条通りを歩きはじめた山田さん。こうして街を歩いているときは、どんなことを考えているのでしょう?

「デザインやアートが好きなので、お店のショーウィンドウや、街を行く人たちのファッション、建物のディテールなどを気にしながら歩いてますね。歩きながら受けた刺激や発見は、いずれ自分の仕事にも生かせるんじゃないかなって思ってます」

いつの間にか迷い込んだように到着したのが、先斗町(ぽんとちょう)通り。鴨川と並行して南北に500mほど続く、祇園と並ぶ花街です。

「先斗町は細い路地なのですが独特の風情があります。上品なお店がたくさんあって、芸妓さんや舞妓さんとすれ違うこともしばしば。誰もが思い浮かべる京都らしさが凝縮されたような場所ですね」

地元の人もちょっと背伸びをして訪れる場所だという先斗町。通りに向かって葉を伸ばすしだれ柳や、地面にあしらわれた千鳥の紋様……目に映るすべてが情緒を感じさせます。

「先斗町をゆっくり散策するなら、お昼過ぎくらいまでがおすすめ。夕方以降は人であふれてしまいますからね。さあ、四条通りにぶつかりました。すぐそこが四条大橋です」

京都有数の繁華街である河原町と祇園をつなぎ、常に人の往来が絶えない四条大橋から鴨川を見下ろす山田さん。

「今日は快晴なので、静かな鴨川でよかった。雨が降ると増水して濁ってしまうので」

鴨川沿いに下りると遊歩道があり、ゆるやかに流れる川と京都名物の川床を左右に見ながら、のんびりと歩くことができます。

「鴨川は京都の子どもにとっては身近な遊び場。僕も小さい頃からよく来ていて、ザリガニを採ったり、飛び石の上をジャンプしたりして遊んでました。今や土手でカップルや若者が語らうのが定番ですが、昔は鴨川で洗濯をする人もいたそう。それくらい京都の人の生活に密着した川だったんでしょうね」

最後は幼少期から慣れ親しんだ地を案内してもらい、これにて今回の京都散歩は終了。日本有数の観光地であり、重厚な歴史と文化をもつ京都。最後にここで生まれ育った山田さんが思う、京都歩きの魅力を聞いてみました。

「京都には1000年以上の歴史をもった場所も当たり前にあります。その一方で古いものをリノベーションした施設や、全く新しいおしゃれなスポットも増えてきています。散策しているうちに、過去から現在まであらゆる時間を行き来できるのが、京都歩きの魅力なんだと思います」

新風館
住所:京都府京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2

むす美
住所:京都府京都市中京区三条通堺町東入桝屋町67
電話:075-212-7222

PROFILE

山田大喜(やまだ だいき)
昭和12年に創業したふろしきメーカー「山田繊維」に生まれる。京都造形芸術大学ではデザインを専攻。東京の大手広告制作会社でプランナーとして勤務したのちに、家業である山田繊維へ。現在は営業&ふろしきコーディネーターとして、古き良きふろしきの魅力と新たな可能性を提案している。