歩いて、触れ合って、なぞときして。 <br>「なぞときFUNロゲイニング」の魅力が詰まった1日
3回目となる「なぞときFUNロゲイニング」が千葉の養老渓谷で開催
NAZO TOKI FUN ROGAINING in YORO KEIKOKU

#WELL-BEING 2022.06.29

歩いて、触れ合って、なぞときして。
「なぞときFUNロゲイニング」の魅力が詰まった1日

これまで長野県須坂市、静岡県三島市を舞台に行われてきた「なぞときFUNロゲイニング」。回を重ねるごとに趣向を変えながら、着実にスケールアップしてきた新感覚アクティビティの第3弾が、千葉県の養老渓谷で開催されました。今回は各地から集まった130名もの参加者がなぞときに答え、竹細工や草木染といった里山文化を体験しながら、のどかな自然をたっぷり散策。そんな養老渓谷でのロゲイニングの模様をレポートします。

「私、決めました! この秋、再びなぞときFUNロゲイニングを開催したいと思います」

今回このイベントをバックアップした市原DMO(市原市観光協会)の池田正臣さんが、イベント終了後の表彰式で壇上に上がるなりそう宣言しました。池田さんいわく、「どれだけ人が集まるかが未知数だった」とのことですが、いざ当日を迎えたら130人以上もの参加者が集まったのです。

池田さんがそう発言するほど盛り上がった、千葉県の養老渓谷で開催された今回の「なぞときFUNロゲイニング」は、果たしてどんな内容だったのでしょうか。自然に囲まれたのどかな町に、たくさんの活気と笑顔があふれた1日の様子を振り返ってみましょう。

そもそも「なぞときFUNロゲイニング」って?

これまでASICS WALKING JOURNALでは何度か「ロゲイニング(ROGAINING)」の説明をしていますが、ここで今一度おさらいを。

ロゲイニングとは、地図を頼りに指定されたチェックポイントをできるだけ多く回り、獲得したポイントで順位を競うナビゲーションスポーツのことを指します。今回開催された「なぞときFUNロゲイニング」は、そんなロゲイニングをベースに「なぞとき」とその土地ならでは「文化体験」という要素をプラス。相応の体力が必要な本来のロゲイニングよりも、知力、ひらめき、遊び心がモノをいう、ワクワク感たっぷりの新感覚アクティビティになっています。

舞台はディープな自然が体感できる「養老渓谷」

3回目となる「なぞときFUNロゲイニング」の舞台は、千葉県市原市にある養老渓谷。春はあたり一面に咲く菜の花、秋は美しい紅葉が名物の千葉県屈指の観光名所ですが、季節を問わず豊かな自然を堪能できるのも魅力のひとつ。また温泉郷としても知られ、歩きまわって疲れた体を名湯でゆっくり癒せる、ロゲイニングにぴったりの場所でもあります。

スタートの前にあのスペシャルゲストが登場

6月4日土曜日、午前10時。

スタート兼ゴール地点となる養老渓谷駅前に、参加者が続々と集まってきました。「なぞときFUNロゲイニング」は最大5名のチームで参加するのが決まり。おそろいのウエアで決めた本格派のチームもいる一方で、家族で構成されたファミリーチームも多数参加。イベントをプロデュースした大久保翔平さん曰く、この日は三世代の家族で参加された方もいたのだとか。
難しい専門知識やお金のかかる道具は一切必要ないロゲイニング。ただ気軽に歩くだけで十分に楽しめるアクティビティだということが、参加者の多様な顔ぶれを見るだけでも分かります。

受付が完了したところでルール説明へ、というのが通常の流れですが、今回はなんとスペシャルゲストとしてお笑いトリオ「パンサー」の尾形貴弘さんが登場。MCの呼び込みで勢いよくステージに上がると、お得意のギャグ「サンキュー!」で参加者の笑いをさらい、さらにスタート前の準備体操をリードして参加者の緊張をほぐしてくれたのでした。

尾形さんが会場を盛り上げてくれたあとは、あらためて恒例のルール説明と作戦タイムへと移ります。今回用意されたチェックポイント(以下CP)は全34カ所すべてのCPを巡れば合計2,200ポイントになりますが、2時間30分の制限時間内にすべてをクリアするのは困難なので、効率のいいルート選びが勝負の鍵を握ることになりそうです。

また、出題されるなぞときを全問正解することで1,500ポイントが獲得できます。さらにマップ内には「オリジナル虫よけ」「しめ飾り」「草木染」「竹細工」という里山文化が体験できるブースが4カ所用意され、すべて参加すると最大1,000ポイントが手に入ります。

脚力に自信があればスタート地点から離れた高配点CPを真っ先に取りにいき、歩きながらなぞときを解いて戻ってくるというのも手。一方でスタート地点の比較的近くに点在している文化体験を先に済ませて高得点を確保するという作戦も。こうして仲間と戦略を練り上げていく時間も、ロゲイニングの楽しみのひとつです。

歩くからこそ出会える風景たち

午前11時、ロゲイニングスタート! 養老渓谷駅から各チームが一斉に散り散りになっていきます。予想どおり駅の北側に点在する高配点のCPを目指すチームと、南側に固まる文化体験ブースを目指すチームで大きく二手に分かれました。

前回、三島駅周辺で行われた「なぞときFUNロゲイニング」(過去記事へのリンク入る)を振り返ると、エリア内にお店や施設が多数あり、名所・旧跡も比較的狭いエリアの中にぎゅっと収まっていました。しかし養老渓谷は、駅から少し離れるとそこはもう里山です。

「これまで開催したなぞときFUNロゲイニング史上もっとも広範囲なマップになっており、クルマや自転車では入れないような奥深い自然の中の景勝地をCPにしてあります。今回はじっくりと自然を堪能しながら歩いてほしいですね」と大久保さん。

たしかに自然のど真ん中を歩いて、都会の喧騒を完全に忘れさせてくれるような感覚はこれまでなかったもの。とはいえずっと単調な風景が続くわけではなく、足がすくむほど見晴らしのいい渓谷橋や、どこまでも一直線に伸びる小湊鉄道の線路、アニメ映画に出てきそうな静謐な森など、歩く速度でも十分に景色の変化を楽しむことができます。

文化体験では地元の人々との温かい交流も

そんな今回のロゲイニングにあってとりわけ印象的だったのは、地元の方々とふれあえる場面がいつも以上に多かったこと。「しめ飾り」や「竹細工」といった文化体験は、実際に作り方を教えてくれる方のお宅の庭が体験会場となっていました。

「私たちといっしょにイベントを主催した市原市地域おこし協力隊の方々が、ぜひ地元の人も巻き込みたいとおっしゃってくれて。その思いから実現したのが、民家におじゃまして、地元の方に直接教えてもらうという今回の文化体験なんです。普通の観光ではなかなか味わえない体験だと思いますよ」。大久保さんはそんなふうに胸を張ります。

地元の方々との他愛もないやり取りを楽しみながらの文化体験。わずかな時間ではありましたが、参加者はみんな養老渓谷の暮らしに溶け込めたような感覚になれたはず。静かな森や隧道跡のような景色が見せる非日常と、人々が営む生活の息遣いという日常。それらを同時に体感することができたのが、養老渓谷のロゲイニングの特徴だったといえます。

さてイベントも終盤戦に入ると、アップダウンの多いコースを歩き回った参加者の中には、疲労の表情を見せる人もちらほら。でもロゲイニングは、あくまで自分のペースで無理なく楽しむのが大切。駅の近くには、カレーパンが名物の商店と淹れたてのコーヒーが味わえるカフェがあり、どちらもこれからゴールしようという人たちの憩いの場となっていました。

制限時間が近づくと、思い思いのルートを歩いてきた参加者たちが、ゴール地点に駆け込んできました。ひと足早くゴールして養老渓谷駅に常設されている足湯を楽しむ人や、ゴールと同時に座り込む人、ロゲイニング中に撮った写真を振り返っている人など、ゴール後の参加者の姿はさまざま。制限時間に設定されていた13時30分がきたら、いよいよ結果発表です。

優勝賞品「GEL-MOOGEE」をゲットしたチームは?

まずは家族で参加したチームに贈られる、ファミリー部門の表彰から。ファミリー部門の1位に輝いたのは「チームぱためがね」。獲得点数は2,337ポイントで、総合成績でも見事3位にランクインしました。

そして総合部門。2位と84ポイント差という接戦を制し2,682ポイントを獲得して見事1位に輝いたのは「チーム竹内」! 彼らには優勝賞品としてASICSのウォーキングシューズ「GEL-MOOGEE」が贈られました。

恒例となっている参加者全員での記念撮影も終わり、「なぞときFUNロゲイニングin養老渓谷」は大盛況のうちに閉幕。大久保さんにイベントの感想と今後の展望を伺いました。

「養老渓谷名物の菜の花や紅葉もない時期でしたが、それでも養老渓谷にこんなに賑やかな光景を作り出すことができて、大きな手応えを感じました。地元の方々にも喜んでいただけましたし、ロゲイニングを通じて地域の課題解決のお役に立てているのなら私たちもうれしいです。最近は少しずつコロナも落ち着いてきて、心置きなくイベントを楽しめるムードができつつありますよね。次回は9月に埼玉県加須市でなぞときFUNロゲイニングを開催します。これまで以上にたくさんの方々にご参加いただき、歩くことの楽しさをお届けしたいと思います」

養老渓谷で数年ぶりに再会!? 優勝した「チーム竹内」にインタビュー

「なぞときFUNロゲイニングin養老渓谷」の優勝者は、高校時代の同級生だという長山雄登さん(左)、佐藤裕也さん(中)、竹内正人さん(右)の3人。全員が顔をそろえるのは数年ぶりとのことで、思い出話に花を咲かせながらのロゲイニングになったそう。

「といってもそれは最初だけ。まず一番遠くて配点の高い神社を目指したんですが、そこが急な坂の上にあり、早々にヘトヘトになってしまいました」(長山さん)

「事前に立てた戦略では、僕たちもいい歳なので(笑)、歩けるのはせいぜい10kmだという前提条件を決めたんです。そのうえでCPの配置や制限時間を考慮してルートを練りました。結局、駅より南側の広大なエリアはあえて捨てることにして、北側に点在する高配点のCPを狙って歩きました」(竹内さん)

「文化体験も後回しにしました。間に合えば4つとも体験したかったんですが、結局2つどまりだったので優勝は無理かなと…。でも長い距離を歩いている間になぞときを全問クリアできたことが、最後に効いたと思います」(佐藤さん)

「ロゲイニングは初体験でしたし、最近は3人ともすっかり運動から遠ざかっていました。そんな僕たちでもワイワイと楽しく歩いていたら、結果として優勝できてしまう。これこそ『なぞときFUNロゲイニング』の面白いところかもしれませんね」(竹内さん)