アート写真探訪を運動に。<br>「Walkmetrix」で歩いた「PHOTO KOMORO」の記録
アートと紅葉と、ウォーキング
WITH WALKMETRIX
-PHOTO KOMORO-

#WELL-BEING 2022.01.11

アート写真探訪を運動に。
「Walkmetrix」で歩いた「PHOTO KOMORO」の記録

世界的に高まり続けている健康志向。街で歩く人たちや走る人たちを見かけることは珍しくありません。あの人も、この人も、健康=運動と考えているようです。そんなヘルシーでありたい人たちのために、「Walkmetrix」は歩くという動作を運動に変えて、活動的で健康的な毎日を提供してくれるパーソナルウォーキングサービスです。歩数だけでなく、歩行速度や歩幅などの情報から、あなたの歩行を分析してスコア化。いつもの移動を、運動に。「Walkmetrix」を使って、長野県小諸市で開催された「浅間国際フォトフェスティバル 2021 PHOTO KOMORO」を歩きました。

文化財と風景に溶けあうアート写真

「浅間国際フォトフェスティバル 2021 PHOTO KOMORO(以下、PHOTO KOMORO)」が開催されたのは長野県小諸市。山々の稜線が紅く彩られた紅葉シーズン真っ盛りのなか、指定文化財が建ち並ぶ小諸市街に国内外の優れた写真作品が展示されました。驚くほど巨大な写真や、「これが写真?!」と驚かされる不思議なものまで、既成概念を覆すような五感で味わうために、地元住民や観光客など、さまざまな人たちが屋外型のアート写真の祭典を訪れました。 「PHOTO KOMORO」の展示写真は合計10作品。小諸駅を中心に、自然や街並みを生かしたロケーションを舞台に、思いがけない形でアートフォトが目の前に現れます。 公式マップを片手にいざ、アート写真探訪へ。「Walkmetrix」はiOSとAndroidに対応した無料アプリケーションなので、スマートフォンがあれば、App StoreやGoogle Playからインストールして誰でも利用できます。アプリケーションを起動したら、ウォーキングの目的を3つのタイプから選択。この日は街歩きということで、「ノーマルウォーク(普段歩いている速度でのウォーキング)」に設定しました。 最初の目的地は旧大塚酒店です。その名のとおり酒屋さんですが、このエイジングの効いた建物は江戸時代に建てられたものなのだとか。 ここでは、グラフィカルで色彩豊かな作風で知られる水谷吉法さんの作品「MOONLIGHT」が屏風のようにつなぎ合わせて展示されていました。まるで金箔を貼り込んだ日本画のように映りますが、ひとつひとつが写真であるというのだから驚きです。見慣れた景色がいつもと違う光景に生まれ変わる。まさに水谷さんの真骨頂が表れています。 続いては脇本陣の宿 粂屋へ。江戸後期に建てられた建築はまさに脇本陣の旅籠。伝統と格式ある様式がよく残されています。 左の暖簾をくぐるとお宿。土間と廊下を使って展示されているのはヴィヴィアン・マイヤーの作品群「Self portraits」です。20世紀中頃のシカゴに生きる人々の姿を切り取った写真たちを、江戸後期の建物にレイアウトするという実にユニークな組み合わせの空間でした。 ちなみに宿のとなりは茶屋くめやとして営業しています。抹茶に和菓子、お蕎麦を味わってひと息。女将さんと常連客のお母さんとの気さくなやりとりに思わず笑みがこぼれます。この格式の高い建築の前を人力車が通ると、なんとも風情を感じます。

小諸市の”顔”を彩る、ダイナミックなアート写真たち

「PHOTO KOMORO」の玄関口・小諸駅で待ち受けるのは、日本が誇る写真家、森山大道さんの代表作のひとつ「光と影」からの3作品です。粗い粒子の力強いスナップはモノクロなのに臨場感にあふれ、一瞬にして私たちの目を奪います。 ちなみに、森山大道さんの作品はASICS WALKINGが日光写真のイベントを開催したほんまち町屋館にも展示されていました。情緒あふれる建物の壁面にダイナミックにレイアウトしたのは「Stray Dog」。こちらを睨むように威嚇する野良犬を画角いっぱいに収めた、その存在感に圧倒されます。

歩くたびに刺激される、感性とイマジネーション

小諸駅の東西を結ぶ自由通路も展示会場のひとつ。天井から等間隔に吊るされている作品は山田梨詠さんによる「Familie werden(家族になる)」です。 一見、同じ写真が並んでいるように見えますが、目を凝らすと、2枚の写真の違いに気づきます。これらは蚤の市やネットオークションで集めた日本とドイツの古い家族写真を基に、服装、メーキャップ、背景や小道具など、写真上の情報を入念にリサーチし、完璧な再現を試みたもの。ちなみにモデルとなっているのは山田梨詠さんなのだとか。 自由通路を通って駅の西側に渡ると、小諸市の観光名所のひとつ、小諸城址懐古園(以下、懐古園)がお目見え。色とりどりの紅葉で視界が埋め尽くされます。 400年を超える石垣の苔と、黄色、オレンジ、朱色に染まった園内のケヤキやモミジ、そしてカエデなどの樹々とのコントラストはまさに絶景です。「PHOTO KOMORO」の開催期間は紅葉のベストシーズンでした。 懐古園には3つの作品が展示されていました。まずは大坪晶さんの作品「Shadow in the House」。1817年に建立された武器庫の暗がりの中、ここに写っているのは、戦後、GHQによって接収された個人住宅です。時代の変遷とともに持ち主が変わった建物に残された多層的な記憶を表現するために、歴史的建造物とともにダンサーのパフォーマンスの軌跡を“記憶の影”として長時間露光で捉えています。その幻想的なイメージから何かの気配を感じとり、想像が広がっていきます。 2つ目は伊藤昊さんの「GINZA TOKYO 1964」です。1964年といえば、東京オリンピックが開催されたタイミング。当時の銀座を舞台に、戦争を乗り越え、経済の発展を遂げている街とアメリカナイズされていく東京の様子を、ストリートスナップのように、グラフィカルに切り取っています。 園内にある展望台のひとつ、水の手展望台まで進み酔月橋を見てみると、3つ目の作品が視界に飛び込んできます。橋から作品を吊るすというPHOTO KOMOROで最もダイナミックに展示されている「Boat」はユーモアたっぷり。人間の想像力や知覚をテーマに、ヴィンテージ写真を使ったコラージュ作品を制作している小池健輔さんによるレトロで独特の世界観は、一度見たら癖になること間違いなし。古い写真に自ら手を加えることで、まるでマジックのようにまったく新しいイメージが生み出されています。

ウォーキングから満たされていく好奇心

さあ、アート探訪のウォーキングも残すところはあと2カ所。小諸駅の南側から線路を渡り北側へ戻ります。 年季が入った旧吉池歯科に展示されているのは、またしても小池健輔さんによる作品。今度は3つの作品群(「One of them」「No More No Less」「Unrest」(2021)を通じて、私たちをタイムスリップするかのような不思議な感覚へと誘います。旧吉池歯科での展示の一番の特徴は、なんといっても顕微鏡を覗き込ませるというアプローチです。顔が9分割された写真、目が泳いでいるように見える写真、万華鏡のように動く写真。いずれも仕掛けは他愛ないものですが、ユーモアとウィットにあふれ、思わずクスッと笑ってしまいます。 ラストは、今はもう営業していないスナック夕子へ。 一面蔦の葉に覆われた昭和レトロの雰囲気が漂う建物を、1970年代に撮影された二本木里美さんの作品「’70s Tokyo TRANSGENDER」がジャックします。インパクトのあるポートレイトは、当時20代だった作者が、深夜の六本木、青山、赤坂、新宿といった東京の繁華街のゲイバーやゲイクラブに飛び込んで撮影したもの。当時はLGBTQやジェンダーレスといった概念がまだ市民権を得ていない時代、マイノリティにとっては今よりさらに生きづらい世の中でした。アンダーグラウンドの世界で自身の美意識を表現していた彼女たちの表情は、時に優しく時に物悲しくも見えますが、それでも懸命に生きるエネルギーに満ちています。 こうして、PHOTO KOMOROのすべての展示会場をコンプリート。「Walkmetrix」を見てみると、今回のスコアは次のような結果でした。距離にして4.8km、消費カロリー428kcal、平均スピード3.9km/h、7061歩。客観的な数字の他に、ウォーキングの総評も記録されます。「歩幅が狭い」「遅い速度での歩行」はアート写真をじっくりと鑑賞した歩行を的確に表しているもの。ちなみに「Walkmetrix」はG-SHOCKの対応モデルと連携することで、より充実した機能を利用できます。詳しくはWebサイトをチェックしてみてください。 古き良き建物が立ち並ぶ旧市街を舞台にした、アート写真を巡るウォーキング。作品を鑑賞するたびに感覚が刺激され、新たな視点や学びを得ることができました。発見や気づきが尽きないからこそ、足をどんどん前に進めたくなる。そうやって運動を通じて好奇心が満たされていく喜びは、PHOTO KOMOROだからこそ得られたウォーキングの醍醐味なのでした。
Walkmetrixのインストールはこちらから
PHOTO: HINANO KIMOTO
EDIT&TEXT:SHOTA KATO