人が快適に「歩く」ためのシューズをビジネス、フォーマル、カジュアルなどのシーン別に提案しているASICS WALKING。そんな靴選びのプロフェッショナルが靴にまつわるノウハウをレクチャーする「SHOES MASTER’S VOICE」。第4回目は「革靴のニオイケア」です。愛用している革靴の歩きやすさと美しさをキープすることに気を取られて、つい忘れてしまいがちなのがニオイ対策。実はその方法がわからないまま放置している人は少なくないはず。ニオイケア、どうすればいいの?
日干しではなく「陰干し」で休ませる
革靴のニオイの原因、それは靴下や靴に雑菌が繁殖し、ニオイを発することに他なりません。言い方を変えれば、新しい靴を買ったら、それを履く前の段階でニオイを予防することはできません。なぜならば、ニオイは靴を履いている時間のなかで付いてしまうものだから。靴を履いていると、その時間に比例して、足の汗や皮脂、垢などがアッパーの内側や中敷に溜まっていきます。そして、それらの混合物は雑菌にとって栄養分になるため、靴の中は雑菌が繁殖しやすくなり、ニオイが発生しやすい状況が育っていってしまうのです。
では、革靴を履いていくなかで、ニオイの予防や状態のリフレッシュはどうすればいいのでしょうか? カンタンな対策としては、愛用している革靴を休ませながら履いていくことです。どんなにお気に入りの靴でも何日も連続で履いていると、靴の内側に湿気がこもって雑菌の発生する環境ができやすくなってしまいます。靴の中にこもった湿気をそのままにしておくと、足のトラブルにつながったり、靴の変形の原因にもなったりします。
意識してほしいポイントは、革靴は1日履いたら最低2日間は休ませるということ。雑菌はニオイの元なので、その繁殖を防ぐために愛用の革靴には休息が必要なのです。
ただ単に革靴を玄関に脱いだままにしておけばOKかといえば、それは違います。かならず取り組んでほしいのは、通気が良い場所での陰干しです。陰干しは革靴内のカビ予防やニオイの発生予防につながるだけでなく、革の品質を維持するためにも効果的。日干しではなく陰干しであることをお忘れなく。日光が革靴に直接当たると、紫外線の影響で革の色が褪色してしまい、それだけでなく、革そのものが乾燥して、質感も損なわれてしまいます。
日陰に靴を干していたのに、いつのまにか日向になってしまっていた、なんてこともあるので、太陽の向きを定期的に確認しましょう。
仕上げはやっぱりスプレー
ニオイケアは陰干しだけでは完成しません。仕上げに除菌スプレーをふりかけましょう。ニオイは雑菌の発生でもあるので、除菌を意識するというイメージで考えると、スプレーによるケアの必要性をより理解できると思います。
スプレーは、かならず換気の良いところで使いましょう。革靴から20~30cmくらい適度に離しながら吹きかけると、革靴の内側全体にスプレーが行き渡ります。15分ほど乾かしたら、かならず乾拭きしてください。
第3回でもご紹介した乾燥剤はニオイケアにも役立ちます。おすすめは繰り返し使えるタイプ。スプレーの吹きかけと乾拭き後に、さっと靴の中に入れることですばやく脱臭してくれます。
除菌スプレーについて、「お部屋や洋服用の消臭剤・芳香剤を使ってもいいの?」という質問をよくいただきますが、その答えはNOです。かならず靴専用のものを使うこと。どれを使えばいいのか迷っている方はASICS WALKINGの店頭でも3タイプ(シトラスグリーン・せっけん・無香料)の消臭・除菌スプレーを販売していますので、お好みの香りのものをお選びください。
(左から順番に)
スニーカーケア フレッシュインサート 1,430円
オドクリーンスリム シトラスグリーンの香り 1,100円
オドクリーンスリム せっけんの香り 1,100円
オドクリーンスリム 無香料 1,100円
消臭ができるさまざまな中敷を量販店で見かけますが、ASICS WALKINGとしては純正の中敷を使うことを推奨しています。その理由は、厚さや長さなどの仕様がASICS WALKINGのものとは微妙に違うから。中敷の仕様が異なると、ASICS WALKINGが提案している「歩きやすさ」が損なわれてしまいますし、靴本来の良さを体感していただくためにも、純正の中敷を使い続けましょう。ちなみに、ASICKS WALKINGの店頭ではセミオーダー中敷も作製していますので、靴のフィット感をさらに高めたい場合は私たちスタッフにお声がけくださいね。
以上が革靴のニオイケアでした。陰干しとスプレーと脱臭を意識して取り組んでみてください。次回は「靴のリペアサービス」についてお届けします。
PROFILE
Edit+Text : Shota Kato(OVER THE MOUNTAIN)