Two phases, “normal” and “emergency” are free.
Aiming
to realize a “phase-free society”
わたしたちの身のまわりにある
モノ・コトを、
日常時だけでなく
非常時にも役立つように
デザインしよう
という考え方。
それが『フェーズフリー』です。
防災用品は普段はしまっていて、
非常時のみに取り出して使うものがほとんどです。
でも、フェーズフリーなモノ・コトは違います。
いつもの生活で便利に活用できるのはもちろん、
もしもの非常時にも役立ってくれる。
その対象は商品だけでなく、サービスやアイディアなども含みます。
一般社団法人フェーズフリー協会 代表理事
1971年、東京都生まれ。国内外で多くの社会基盤整備および災害復旧・復興事業を手掛け、世界中でさまざまな災害が同じように繰り返されてしまう現状を目の当たりにしてきた。その経験・研究に基づき、防災を持続可能なビジネスとして多角的に展開。そのひとつとして世界ではじめてフェーズフリーを提唱し、その推進における根源的な役割を担っている。
地震や台風、昨今の気候変動や新型コロナウイルスの流行なども含めると、私たちが生きる現代は災害に見舞われることが多い社会になりました。そんな防災への意識が高まる世の中に新しい概念が提唱されていることはご存知でしょうか。 フェーズフリーは、日常時と非常時のフェーズをフリーにして生活の質を高めようとする、防災に関わる新しい考え方です。私たちがいつも使っているモノやサービスを、もしものときに役立つようデザインする。そのコンセプトが生まれた背景について、フェーズフリー協会代表理事・佐藤唯行さんに聞きました。
――フェーズフリーは何をきっかけに、いつ生まれた考え方なのでしょうか。
佐藤:特別なきっかけはないんですよ。僕がすごくショッキングな災害を経験したということではなくて。フェーズフリーは2014年に生まれた防災に関わる新しい考え方ですが、そもそも防災は、繰り返し起きる災害に事前に備えること、災害に備えて安心安全な社会をつくっていこうとする運動のことなんですね。
――防災のために何かを備えることはわかっていても、なかなかできないという人は多いかもしれません。
佐藤:そうですよね。私たち生活者は防災をすべきだと思う一方で、備えることは難しいという相反する考えを同時に持っているんです。そこで、備えることが難しい人に備えましょうと提案しても、これは問題解決にはつながりません。その代わり、私たちが普段着ている服、履いている靴、使っているパソコン、携帯電話、乗っている車とか、普段の生活を豊かにしているものが、もしものときにも役に立てばいいんじゃないか。そこで、日常のフェーズと非常のフェーズをフリーにして、両方でも役に立つという概念がわかりやすい言葉で伝わっていけば、備えられない私たちが抱えている問題を解決できると考えました。それがフェーズフリーなんです。
――フェーズフリーは防災のあり方、取り組み方を大きく変える概念なんですね。
佐藤:いままでの防災は、備えることを前提に安心安全な社会をつくろうというものでした。でも、備えることに参加できている人って世の中にどのくらいいると思いますか? 私、十分備えていますという人は、おそらくそれほどいませんよね。言い換えると、ほとんどの生活者は備えられない側の人たちなんです。備えられない人たちに目線を合わせて、その人たちを安心安全な社会に連れていく方法を考えない限り、この繰り返されている状況をとても解決できない。それが、備えることを前提とした防災と、備えられないことを前提としたフェーズフリーの大きな違いだと思います。
――現代は非常時とされる災害や疫病が相次いで発生しています。非常時が当たり前になりつつある世の中において、人々の非常時に対する意識は実際に変化していると感じますか?
佐藤:日本国内における防災への意識はすごく高まっている。それは間違いありません。ただ、意識が高まっただけでは何も始まらないんですね。私たちが防災に取り組む方法が私たちにとって難しい取り組み方のままだったら、やはり問題の解決にはつながらなくて。例えば、非常時にしか役立たない防災シューズを提案されても、普段からは履きませんよね。でも、もしかしたら被災するのは、それを家に置いているタイミングで、いざというときに使えない可能性が高い。ということは、私たちが普段から使っているものが非常時にも使える、という考え方がすごく合理的なんです。
――たしかに、フェーズフリーデザイン事例集のWebサイトを見ると、普段から使えるものが並んでいます。 ASICS WALKINGのRUNWALKをはじめ、文房具や車、公園まで事例として登録されていて、あらゆる分野の商品やサービスがフェーズフリーになり得るんですね。
佐藤:私は防災の専門家でもあるので、よく「災害時に必要なものはなんですか?」と聞かれるんですよ。最近はそれに答えず、「逆に何が必要だと思いますか?」と聞くようにしているんですが、水、食料、衣服、ラジオなど、続々と挙がるんですよ。そこではじめて気づくわけです。つまり、災害時だからと言って必要ではないものって世の中にあまりないんですね。日常時から非常時への切り替えは突然訪れて、私たちはこのままの肉体と精神のまま飛び込むわけです。特別な何かを用意して強くなるわけでもなく、普段の私たちの暮らしに活躍するものが軸になっています。
フェーズフリーに認証された商品やサービスの一部。車、文房具、オフィス用品、公園など、その対象は幅広い。
――日常に軸がある。それがフェーズフリーの大前提なんですね。
佐藤:そうなんです。フェーズフリーなものは新たな価値として、備えられない人たちを守ることができるんですよ。自分は地震で被災することはないと思うかもしれないけど、まずはどんな小さな不便でもいいから、その解決策として、自分なりのフェーズフリーを取り入れてみるといいでしょうね。例えば、びしょ濡れになったときに簡単に乾く、速乾性のある服を買ってみるとか。さまざまな細かいことが集まっていけば、その総体として日常の価値が高まって、いざというときにも役に立つ。身のまわりのあらゆるものがフェーズフリーになっていけば、結果として、自分や大切な人を守ってくれる。その考え方がすごく重要ですね。
フェーズフリー総合サイト
https://phasefree.net/
フェーズフリーデザイン事例集
https://dcs.phasefree.net/design_case/
ランウォークにはランニングシューズで培ったアシックス独自のソール技術が応用されています。
汎用性と機能性の両面を追求し、革靴でありながら快適な歩行を実現しました。
普段から自分の足にフィットしたランウォークを履いていれば、万が一の被災時にも役立ちます。
スーツスタイルにマッチするデザインとレザーの質感で、ビジネスパーソンを中心に快適な履き心地と歩きやすさを提供。一部商品には防水透湿性に優れたゴアテックスファブリクスを搭載し、雨の日やムレに対する快適性を高めています。
災害発生時の脱出・避難や、公共交通機関の不通時に徒歩での長距離帰宅を迫られた場合に、優れたクッション性と反発性で足への衝撃や負担を軽減。また樹脂製シャンクによって、ガレキが散乱した悪路などでの安定した歩行をサポートします。
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