有森裕子と開発者が語る「RIDEWALK」<br> 現役時代に気づいた、ウォーキングの効能と魅力とは

現役時代に気づいた、
ウォーキングの効能と魅力とは

有森裕子と開発者が語る「RIDEWALK」

People 2022.09.07


有森裕子と開発者が語る「RIDEWALK」

【有森裕子さん×鏡味佳奈さん 対談(後編)】

PROFILE

有森裕子(アリモリ ユウコ)
1966年、岡山県生まれ。元プロマラソンランナー。日本体育大学を卒業後、株式会社リクルートに入社。女子マラソン代表としてバルセロナオリンピックで銀メダル、アトランタオリンピックでは銅メダルを獲得。1995年にはプロ宣言を行い、日本初のプロマラソンランナーとなった。2007年に競技生活から引退。現在では、日本陸上競技連盟の副会長を務める等、幅広い分野でスポーツ振興に関わっている。

鏡味佳奈(カガミ カナ)
アシックススポーツ工学研究所 フットウエア機能研究チーム所属。数々のランニングシューズの開発に従事したのち、ランニングシューズで培ったテクノロジーをウォーキングシューズに転用した「RIDEWALK」で主にソール部分の開発を担当。

「RIDEWALKシリーズ」は、ランニングシューズで培った「GUIDESOLE」テクノロジーをウォーキングシューズに採用し、ソールの前足部に「FLAT ZONE」を設けて転がるような軽快感と安定した歩行感覚を両立した新感覚シューズとして登場しました。
今回はそんな「RIDEWALKシリーズ」の魅力と「歩くこと」を深掘りすべく、元プロマラソンランナーの有森裕子さんと、RIDEWALKの開発者である鏡味佳奈の対談を実施。
後編では有森さんの現役時代のアシックスとのエピソードや、ウォーキングの楽しさや魅力について語っていただきました。

シューズ専門の専任担当者がいたのはアシックスだけ

鏡味:今さらで恐縮なんですが、私、有森さんとは「はじめまして」ではないんです。

有森:あれ、どこかでお会いしてましたっけ?

鏡味:実は、私の代の入社式でスピーチをしてくださったのが有森さんだったんです。

有森:そうだったんですね!

鏡味:でもそのときは入社できた喜びと緊張、さらに突然有森さんが登壇されたことで浮かれてしまい、肝心のお話をあまり覚えていないんです…すみません。

有森:たしか現役時代のアシックスとのエピソードを話したはず。せっかくの機会だからあらためて話しましょうか(笑)。

鏡味:ぜひお願いします(笑)。現役時代からアシックスのシューズはずっと履かれていたのですか?

有森:最初のうちは、メーカーからシューズを提供してもらえるような選手ではなかったんです。初めてちゃんと自分専用のシューズを作ってもらえるようになったのがバルセロナの直前からで、それがアシックスでした。

鏡味:そうだったんですね。

有森:契約前から、アシックスのシューズは個人的に履いてましたけどね。やはりマラソンといえばアシックスというイメージがありましたし。いつかアシックスに特注シューズを作ってもらえたら、それはもう世界に行ける一流ランナーの証だと思っていたので、実現したときはうれしかったですね。

鏡味:それでメダルまで獲得されて、本当にすごいです。

有森:でも実は、初めて作ってもらったシューズは全然合わなかったんですよ。

鏡味:それは知りませんでした。ちなみに当時、他のメーカーにはアスリート用の特注シューズを作るシューズ担当者がいなかったと聞いています。

有森:そうなんです。ただアシックスでは、かかとの高さやつま先部分の厚みなどをミリ単位でオーダーできたんです。その極めつけはまさにバルセロナのとき。本番直前で私が足を痛めてしまい、本番用のシューズを急遽調整しなければいけなくなって。現地でシューズをバラし、微妙な修正を加えていただいたんです。再び履けるまでには2〜3日かかるということで、それを待って本番を迎えて、結果的に銀メダルを獲ったという思い出があります。

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人間関係で大切なのはforではなくwith

鏡味:すごく緊迫感のあるエピソードですね。実は有森さんの『アニモ』というエッセイ本を読んだことがあって、そこにも当時の心境などが細やかに描かれていました。特に感銘を受けたのが「人間関係は“for”ではなくて“with”」とおっしゃっていた部分で。

有森:forの関係性は一方通行じゃないですか。でもwithだとお互いがお互いを認めて支えあう、持続可能な関係になれると思うんです。その考えは昔も今も変わってません。

鏡味:きっと現役時代の有森さんとアシックスの関係はwithだったんじゃないかなって、今お話を聞いていて思いました。

有森:たしかにそうかもしれないですね。先ほど、他のメーカーにはシューズ担当者さんがいなかったという話をしましたが、一応オーダーメイドはできたんです。ただ良くも悪くもこちらのオーダーどおりのシューズが仕上がってくる。でもアシックスで担当者さんにシューズを作ってもらうときは、走るのが専門の私の感覚と、シューズ作りが専門の担当者さんの感覚をぶつけて、擦り合わせしていくことになります。これこそがすごく重要なプロセスで、お互いの感覚や意見が融合して合致したときに、本当に良いシューズができるというのは間違いないと思います。

鏡味:私はたくさんの方々が履かれるシューズを開発する立場ですが、今のお話はすごく分かります。さすがにすべてユーザーの意見をお聞きするのは難しいですが、作っている側だけが納得しているシューズでは意味がないんだということは、あらためて身に沁みました。

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RIDEWALKでウォーキングの魅力を味わって

鏡味:元マラソンランナーの有森さんですが、現役時代からトレーニングにウォーキングを取り入れていたという話を伺いました。

有森:そうなんです。ウォーキングはかなり力をいれてやっていましたね。

鏡味:具体的にはどのように取り入れていたんでしょうか。

有森:1994年に足底筋膜炎で両足を手術したんです。しばらく車椅子だったので、まずは立ち上がってウォーキングからはじめることにしたのがきっかけです。あらためてウォーキングをしてみると、常にどちらかの足が接地していることに気がつきました。それはつまり、体に常に重力がかかっているということ。だから体が浮いている瞬間もあるランニングに比べて、歩く方がよっぽど疲れることが分かったんです。

鏡味:たしかに、歩いていると完全に力が抜ける瞬間がないんですよね。

有森:そう、それがけっこう衝撃的でしたね。あと正しい姿勢とペースで歩けるようになると、走りにもいい影響を与えることも分かりました。ちゃんと歩けることは全身をしっかり使えていることとイコールなので、トレーニングとしてウォーキングに取り組むようになって以降は、故障もしなくなりましたね。

鏡味:なるほど。当時はどれくらい歩いていたんですか?

有森:毎回2〜3時間は歩いていましたね。あと7時間くらいのトレイルもトレーニングに入れていました。競技を引退してほとんど走らなくなった今でも、暇さえあれば歩くようにしていますよ。昔から喫茶店が好きなので、目星をつけていた中で一番遠いお店まで歩いて行ってみる、なんてこともしています。鏡味さんもよくウォーキングはされるんですか?

鏡味:はい。私はランニングもやるんですが、ウォーキングは自分の気持ちのままにリラックスしてやることができて、道端に咲いている花とか公園で元気に遊んでいる子どもたちの声とか、普段気づけないものに気づけることが楽しいです。

有森:ランニングだと見過ごしてしまうものが多いですからね。歩いていると、季節の変化や風景だけではなく、自分自身についても気づくことがあったりしますし。あと何よりもウォーキングは、子どもからご高齢の方まで、無理なく誰にでもできるのがポイント。

鏡味:おっしゃるとおりです。歩くというのは日常の一部でもありますから。

有森:このRIDEWALKが、ウォーキングの魅力をたくさんの人に味わってもらうきっかけになるといいですね。

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